内容説明
中国、ソ連は各々漢民族、大ロシア族を主体しながら多民族によって構成されている。そして両国の革命は少数民族の解放をもたらさなかった。例外は両大国のただ中にあってロシア十月革命後、最初の社会主義革命国家として誕生したモンゴル人民共和国である。しかしここでも、人民の階級的解放と民族的解放が合致したとはいえなかった。モンゴル民族独自の苦難に満ちた英雄的闘いの歴史を辿り、革命の本質を問うた名著の増補改訂版。
目次
序章 社会主義革命は民族を解放するか
第1章 独立の夢
第2章 国を失った民族
第3章 最初の核と波紋の中心
第4章 コミンテルンと極東共和国
第5章 党首ダンバドルジの文学作品
第6章 ジャムツァラーノのたたかい
終章 「最初の七人」のその後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
辛亥革命によるモンゴル独立運動から第二次大戦後まで、モンゴルの独立のために立ち上がった幾多の人々の人物列伝。人物中心の記述なので、モンゴル独立の大まかでも経緯を知らないと理解出来ない部分も多々あるし、初版は冷戦期に書かれたのでモンゴル側へ配慮して筆をあえて抑えている部分もあるが、モンゴルに対する著者の熱い思い入れが感じられる。中国、ロシア、日本と侵略を受け、頼りにしたソ連のせいで同胞同士で粛清し合い、やっと守った独立なのだが、それでもモンゴル人は分断された民族だった。モンゴルの現代史はかくも過酷なのだ。2012/01/03
Yutaka Taniguchi
1
1994年モンゴル旅行時、機中で読んで以来の再読。改めて彼の国とその革命家たちの偉大さをリスペクト。彼らを粛清抹殺したソ連共産党・コミンテルンの犯罪を想起し、恐怖する。 古い本なので今では修正すべき点も多いはず。でも1973年に初版を書いた著者の卓見は素晴らしい。他の著作やモンゴルに関する他の研究者の本も読んで見たい。2018/09/27
穀雨
0
モンゴルの歴史にこのような激動の一こまがあったとは知らなかった。新書らしく、平明かつ詳細にその時代のモンゴルを描き出した著者に敬意を表したい。2013/04/22
芦田均らしきサムシング
0
モンゴル革命の通史として読みやすく要点がよくまとまっている本。冷戦時に刊行されたため現在では塗り替えられている部分もあるが、他に良書がないのでまずはここから。2012/09/17
tkm66
0
革命はやはり内紛を・そして惨劇を生む。2003/08/23