出版社内容情報
エティカ(倫理学)と題されているが、スピノザの汎神論的体系が織り込まれた代表作。幾何学の形式に従って神と人間の本性を語る
内容説明
定理と公理から、神と人間精神との本性を演繹的に論証した汎神論体系。
目次
第1部 神について
第2部 精神の本性と起原について
第3部 感情の起原と本性について
第4部 人間の隷従あるいは感情の力について
第5部 知性の能力あるいは人間の自由について
著者等紹介
スピノザ[スピノザ]
1632~77。オランダの哲学者。ユダヤ人学校でヘブライ語、聖典学を学び、ユダヤ神学を研究するも批判的なためユダヤ教団から破門となる。ラテン語、数学、自然科学およびルネサンス以後の新哲学に通暁し、デカルト哲学から決定的な影響を受けた。また旧約聖書の文献学的批判を『神学・政治論』で行い、無神論者と危険人物視されたが、その人格の高潔さは誰しもが認めていた。彼の哲学はフィヒテからヘーゲルに至るドイツ観念論哲学の形成に大きな役割をはたした
工藤喜作[クドウキサク]
1930年神奈川県生まれ。西洋哲学専攻。目白大学教授
斎藤博[サイトウヒロシ]
1931年神奈川県生まれ。西洋哲学専攻。東海大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サゴウ
72
自分の人生に欠かせない座右の書になりました。自由の定義が完全に書き換えられ、目指すべき方向に気づかせてくれました。 入門本で衝撃を受け原著にチャレンジ。難しかったですが鉛筆片手に線を引いたりメモしながら1ヶ月かけて読了。すべての定理に証明があることで想像知でなく理性知で納得することができました。 自分の人生経験に当てはめて納得できる部分も多く、それは直観知なのでしょう。まるで人生の答え合わせのようでした。稀有で困難な幸福に近づくため、これからも読み返します。スピノザ、そして自然(神)に心から感謝します。2022/10/17
ころこ
49
スピノザは現在の哲学や文学、脳科学であらゆる研究者、作家から参照されているので、引用された他の著作を読んで、引用元であるスピノザに興味を持つというのが自然かなと思います。汎神論、心身並行説、コナトゥスと、現在の我々の身体性に新たな視座を与えてくれます。ある定理が証明されて、後にその定理が「定理○○による」と出てくる。数字が付されて箇条書きなのも人文的ではありませんが、括弧で括られてただけで要約された定理が差し込まれているのは数式のようです。「かくてこの定理は証明された。」というのが、本書で最も使われるフレ2019/07/17
かわうそ
46
想像以上に面白かったです。買ったはいいものの少しつまみ食いして断念してました。しかし、ライプニッツのモナドロジーを読んだ後だったからか割とスラスラ読めました。この本は頭から読まないのが理解するコツな気がします。スピノザが言いたいのは最終的に 《神は完全な実体である。故に偶然性などというものは認められない。偶然性は人間の誤認で原因を認識できないためにそう見えるだけで実際には存在しえない。なぜなら、世は神の意志によって必然性が保たれており、偶然なんてものは有り得ないのである。》ということ。2022/12/01
かわうそ
37
2年ぶりに再読。1番好きな本かも。西洋哲学史上最も完成度の高い1冊であることは間違いない。本書を読む前に、その他の哲学書をある程度読んで置いた方が理解が進みやすいように思える。 スピノザがキリスト教会から監視下に置かれていた理由がわかる気がする。彼は恐怖を否定する。しかし、死後の拷問の恐怖を否定することは教会を否定することに他ならず、民衆を快楽に誘う甘美な言葉であるからだ。彼は恐怖が非十全な観念から生まれた感情であるから、受動感情であるからこそ否定するのだが。 恐怖は悲しみであり小さな完全性への移行である2025/01/03
しゅん
24
再読。一番単純に言ってしまうと「認識こそすべて」。神はどこか遠いとこにいるわけでも、意志を持つわけでもない。この世界全てが神である。私たちの行動は外側からの影響でできており、人は決して能動にはなれない。だから「何でも好きにできる」意味の自由はスピノザに存在しない。神、つまりこの世界自体を認識することにのみ自由はある。この本は知ることの喜びを最も的確に言語化したものではないか。三章、四章の感情分析と善悪の定義は一種通俗的で現代日本人にも読みやすい。常に横に置いておきたい名著だと思う。2019/02/05
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