出版社内容情報
桂離宮をはじめ,伊勢神宮,飛騨白川の農家および秋田の民家などの美は,ドイツの建築家タウトによって「再発見」された.彼は,ナチスを逃れて滞在した日本で,はからずもそれらの日本建築に「最大の単純の中の最大の芸術」の典型を見いだしたのであった.日本建築に接して驚嘆し,それを通して日本文化の深奥に遊んだ魂の記録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミエル
30
昭和初期、日本滞在していたドイツの建築家ブルーノタウトが日本各地を訪れ文句ばかりたれた探検記が面白い。とにかく華美で装飾的な武家文化と在野の俗っぽい下品な田舎が大嫌いで、親の仇かと思うほど悪く書き記す視野が極小なインテリっぽさがふんだんに散りばめられている。むしろ、ここまでこだわるタウト自身こそ俗人じゃないかと。結局、ヨーロッパ水準で選ばれる日本建築って侘び寂び系譜の小堀遠州や桂離宮なんだな。日光東照宮の呪法カオス感溢れる細工にも違った魅力があるけどわかんないだろうなー。2024/11/11
あっきー
10
✴3 昭和9年ぐらいの朝ドラのマッサンと同じ時代かなと思った、桂離宮の章を読みながら、とんぼの本の桂離宮と原色日本の美術の桂離宮の巻の写真を見た、この文章はこの写真の風景を言っているんだと見学している気持ちになり盛り上がった、この3冊を同時に見ることができて贅沢な気分になれた2017/05/10
moi
7
建築論というより、もっと容易で軽いエッセイ、もしくは旅行記のようで楽しめた。ユーモアが効いていて、彼の人となりも伝わる。裏日本を旅したくなった。この本を、岡倉天心『茶の本』と併せて読んだことは、我ながらなかなかいい組み合わせだったと思う。2019/11/06
at@n
4
東北の旅行日記が昭和初期の日本の様子が詳細に描かれていて面白かった。2022/05/26
はるな
4
桂離宮と日光東照宮への評価があまりに有名であるため、日本建築に対する評論文のようなものかと思って手に取ったが、本の半分くらいは裏日本の紀行文のような感じでこれはこれで面白かった。秋田の横手のかまくらや三吉梵天祭など、現在も行われている祭が取り上げられていることが興味深い。100年弱も前の本だが描かれている日本人や旅館の様子などは今に通じるものがある。日本の田舎を求めて旅に出たくなる本であった。2020/02/09
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