出版社内容情報
このように私は読んできた―六人の専門家と読書人が「自分の一冊」をとりあげ、古典の世界に招待する。
目次
『古事記』―誰が何のために(青木和夫)
『アラビアン・ナイト』―イスラム文明の申し子(池田修)
『ドン・キホーテ』―書物の書(牛島信明)
『解体新書』―身体から自然へ(養老孟司)
『存在と時間』―謎の空白を読む(木田元)
私の「マルクス」―感性の回復に向けて(辻井喬)
著者等紹介
青木和夫[アオキカズオ]
お茶の水女子大学名誉教授。日本古代史。1926年生まれ
池田修[イケダオサム]
大阪外大名誉教授。アラビア語・アラビア文学。1933年生まれ
牛島信明[ウシジマノブアキ]
東京外大名誉教授。スペイン語・スペイン文学。1940年生まれ、2002年逝去
養老孟司[ヨウロウタケシ]
東京大学名誉教授。1937年生まれ
木田元[キダゲン]
中央大学名誉教授。哲学。1928年生まれ
辻井喬[ツジイタカシ]
詩人、小説家。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
3
第2集に続いての読了。それぞれ専門家の古典を読んだ感想ですがこの中での異色は辻井喬さんの「マルクス」についての感想というか、マルクスを中心にして自己の経験をかたるということでの話が中心となっています。そのほかでは「アラビアン・ナイト」や「ドン・キ・ホーテ」が印象に残りました。2013/10/04
Nunokawa Takaki
2
これを読むと難解な古典も読みたくなってうずうずしてくる。特に『存在と時間』は、今まで名前しか知らず、書店でパラパラめくるだけで難解すぎて嫌気がさしたものだったが、本田さんの解説を読んで、「今は理解できなくても、長い月日が経った時ふと、ああこういうことだったのかとひらめく時が来るから」と教えられているような気がした。だいたい深淵な古典とは、今この時代の自己啓発のようにすぐ効き目がきてすぐ役に立たなくなるようなものとは違い、人生の全体にわたり影響を及ぼすものを言うのではないか。チャレンジする甲斐はありそうだ。2015/04/19
結城あすか
1
どうでもいいけど、『アラビアン・ナイト』がイスラム世界で評価が低いのがわからないって何度も何度も疑問を挙げてるんだけど……神との対話が絶対である敬虔な一神教の世界で、宗教と関係の無い、むしろ背徳的な世俗の書が評価されないのは当たり前にょ。そんな基本的な見識もなくてよく『アラビアン・ナイト』の研究なんてやってられると感心するにょ。2007/06/03
めい
0
真実は常識という知ったかぶりで隠されていることもある。だから、疑うことが大切。視点を変え見えてくるものを、追求する。それが学問の楽しさ。まずはドン・キホーテを読んでみようと思った。2014/05/27
壱萬参仟縁
0
『古事記』、『アラビアン・ナイト』、『ドン・キホーテ』、『解体新書』、『存在と時間』、『私の「マルクス」』の各節から成る。こぼれ話として、ハイデガーは評者の性格に似ていて親近感が湧いた。「けれんもあれば、はったりもある。かなりの山っ気のある男」(p.174)。古典を読む中で、意外な有名人の人間くささが見えると、読んだ甲斐があった。2012/04/27