出版社内容情報
遍路を終えて半年余りが経つ。「遍路とは?自分との和解?である」。一四〇〇キロ歩き継いで辿り着いた、私なりの答の一つだ。一巡で?和解?できなければ、二回、三回と巡る。歩行による円環運動は、巡礼者を螺旋状に少しずつ高みへと引き上げてゆく。やがて桎梏から解き放たれ、自らを赦し、和解を果たしていくのではないか。 結願の後、三か月間にわたって『東京新聞』で遍路での経験を連載した。連載を通じてわかったのは、いつか「歩き遍路」をしたいと願っている人が、潜在的に多くいることだ。新聞の一般読者はもちろんのこと、私の周辺にも「実は以前からお遍路をしたいと思っていた」「遍路をしたことがある」など、思いがけない反響があった。連載を読んで遍路に発つ決心をした女性もいた。春の旅立ちに向けて既に身支度を始めているという。本著が、迷い苦しむ人の背中を押すきっかけになれば、執筆者として望外の喜びだ。 ――あとがきより
黛 まどか[マユズミマドカ]
著・文・その他
内容説明
二〇一七年四月初旬、著者は、総行程一四〇〇キロに及ぶ四国八十八か所巡礼に旅立った。全札所を徒歩で回る「歩き遍路」である。美しくも厳しい四国の山野を、施しを受け、ぼろ切れのようになりながら歩き継ぐ。倒れ込むようにして到着した宿では、懸命に日記を付け、俳句を作った。次々と訪れる不思議な出来事や奇跡的な出会い。お遍路の果てに著者がつかんだものとは。情報学者・西垣通氏との白熱の巡礼問答を収載。
目次
第1章 発心の阿波(杖に咲く花;花行脚 ほか)
第2章 修行の土佐(空海とお大師様;逆打ち遍路 ほか)
第3章 菩提の伊予(松尾峠;ギフト ほか)
第4章 涅槃の讃岐(巡礼仲間;恩送り ほか)
黛まどかさんへの八十八問(西垣通)(歩き続ける理由;東西二つの巡礼 ほか)
著者等紹介
黛まどか[マユズミマドカ]
1962年、神奈川県生まれ。俳人。1999年スペイン・サンティアゴ巡礼道、2001~2002年釜山からソウルまで、2017年に四国遍路を踏破。俳句における「身体性」を追求している。北里大学・京都橘大学・昭和女子大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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