出版社内容情報
文明開化期から村上春樹まで、日本の近代小説を一冊で案内する。珍しい写真図版を多数収録し、目で見て分かる面も充実。最新研究に基づく入門書の決定版。改版にあたり、近代日本文学へのアプローチの仕方を説く「「近代日本文学」の成立」を付した。
内容説明
文明開化期から村上春樹まで、日本の近代小説史を一冊で案内する。文学史的な事実の集積を越え、文学表現が生まれてくる社会状況や作品間の影響関係にも言及。主要な作品には内容紹介を添え、読書ガイドとしての利用も企図した。肖像に加え、本や雑誌の写真を多数収録。好評旧版の新装にあたり、近代文学に文化史的・メディア論的にアプローチする手がかりとして、「「近代日本文学」の成り立ち」を付した。西暦和暦対照表、索引付。
目次
1 文明開化と「文学」の変容
2 明治中期の小説文体
3 自然主義文学と漱石・〓外
4 大正文壇の成立
5 マルキシズムとモダニズム
6 第二次世界大戦と文学
7 戦後文学の展開
8 高度経済成長期とポスト・モダン
付 「近代日本文学」の成り立ち
著者等紹介
安藤宏[アンドウヒロシ]
1958年東京に生まれる。82年に東京大学を卒業し、85年、同大学院人文科学研究科博士課程に進学。その後東京大学文学部助手、上智大学文学部講師、助教授を経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
38
大学で従来の文学を教える機会が無くなっていくことを嘆いていますが、これを大学生に読ませるのは無理でしょう。現在、社会で発言が注目されているのは小説家ではなく経営者です。発言に影響力が無ければ作品も読まれません。小説が読まれないことを問題にするのであれば、経営者が言えない事を小説家が言っていると論じる必要があります。少なくとも、近代史であっても今の小説に接続して小説史をつくる問題意識を持つべきです。最も新しい個所がW村上では、大学生に興味を持てというのが酷というものです。2020/10/23
川越読書旅団
26
いわゆる日本の近代文学と定義される作品の成り立ちを主義(自然主義等)や派閥(耽美派・白樺派等)ごと、また時系列的に明快に解説、必携の1冊。2024/03/30
❁Lei❁
23
教授のおすすめにて読了。近代文学(小説のみ)の黎明期から戦後までの歴史が網羅されています。自然主義やプロレタリア文学などの時代の主流に対抗して新たな派閥が生まれるという流れが理解でき、読み進めるにつれて点同士の知識が線で結ばれるようでした。またそれぞれの派閥の代表作品を取り上げ、文体や内容の特徴などがわかりやすく解説されているのもよかったです。何度も読み返して学習したい一冊。2022/07/21
ほうすう
10
作品の時代背景や思想の流れに特化していて、特定の作家のエピソードや関係性が知れるといったたぐいのものではなかった。 明治から戦後にかけて小説の流れ、思想の流れというものをシンプルに説明している。既知の作家が流れの中でパチパチっと当てはまっていく感覚は心地よかった。ただまあ細部に関していえばその読み取り方は一面的に過ぎないか、戦後がやけに駆け足というかそれだけ多様性に富んでしまったのかもしれないが急にとっ散らかったという感覚を受けたりもしたが、一つの見方としてコンパクトにまとまった良い小説史だったと思う。 2021/06/16
koke
8
クセのないよくできた教科書。メディア論や受容論の視点も組み込まれている。自分の日本近代文学史理解がどう偏っているか、何をそこに求めているのか気づくいいきっかけになる。2024/06/25