中公新書<br> 加耶/任那―古代朝鮮に倭の拠点はあったか

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加耶/任那―古代朝鮮に倭の拠点はあったか

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  • サイズ 新書判/ページ数 256p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121028280
  • NDC分類 221.036
  • Cコード C1221

出版社内容情報

加耶(かや)/任那(みまな)は3~6世紀まで存在した朝鮮半島南部の小国群名である。

『日本書紀』は任那と記し、「任那日本府」の記述などから長く倭の拠点と認識されてきた。だが戦後、倭の関与について強く疑義が呈される。歴史教科書の記述は修正が続き、呼称も韓国における加羅、さらには加耶へと変わった。

 他方で近年、朝鮮半島南部で倭独自の前方後円墳の出土が相次ぎ、倭人勢力説が台頭している。

 本書は、日韓歴史共同研究をはじめ東アジア古代史の大きな争点である同地の実態を実証研究から明らかにする。

内容説明

加耶/任那は3~6世紀に存在した朝鮮半島南部の小国群を指す。『日本書紀』は任那と記し、「任那日本府」の記述などから長く倭の拠点と認識されてきた。だが戦後、強く疑義が呈される。歴史教科書の記述は修正が続き、呼称も韓国における加耶へと変わる。他方で近年、半島南部で倭独自の前方後円墳の発掘が相次ぎ、倭人勢力説が台頭する。本書は、古代東アジア史の大きな争点である同地域の実態を実証研究から明らかにする。

目次

序章 加耶/任那研究の歩み
第1章 檀君神話から金官・大加耶へ
第2章 弁韓からの発展―四世紀の動向
第3章 大加耶の成長と倭臣―五世紀~六世紀初頭
第4章 百済・新羅による蚕食と抵抗―六世紀
第5章 滅亡後―倭の揺れる「任那」認識
終章 加耶とは何か―国民国家を超えて

著者等紹介

仁藤敦史[ニトウアツシ]
1960(昭和35)年静岡県生まれ。89年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。98年博士(文学)。早稲田大学第一文学部助手、国立歴史民俗博物館歴史研究部助手・准教授などを経て、2008年より教授。専攻・日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

23
加耶ないしは任那について、戦前の学説から近年の見解までよく整理されていると思う。『日本書紀』分注に引かれる百済三書の史料的性格についての議論や、いわゆる任那日本府が倭国の統制下にはない、独立的な性格を持った現地で土着した反百済・親加耶の倭系の人々の総称であり、百済の倭系官僚の裏返しのような存在で、その捉え方は倭国と百済とで相違があったという議論を面白く読んだ。これは言い換えれば倭と加耶、百済間のマージナルな存在であり、後の時代の倭寇のマージナル性とも通じるのではないか。2024/10/23

電羊齋

11
加耶/任那の歴史と研究史についてよくまとまっている。『日本書紀』と『日本書紀』に引用される百済三書、『広開土王碑』の史料的性格についての議論も興味深い。著者は「任那日本府」は、倭国の出先機関でも領域支配機構でもなく、現地で土着した倭系の人々の総称であったとする。そして倭国の統制に従わない独立的存在であり、反百済・親新羅的な行動を取ったり、加耶/任那の独立を守るために行動したことも紹介されている。こうしたマージナルな存在は近代以降の国民国家・国境・民族などといった枠組では捉えきれないが、それゆえに興味深い。2024/11/09

(k・o・n)b

9
中高の教科書でも一応地図には書かれるものの詳しい言及はあまりなく、謎めいた印象で前から興味を惹かれていた加耶/任那。他の三国と異なり、本格的な国家へ成長する前に滅亡してしまい、その歴史を語る史料は、日本書紀やそこで引用される百済三書、広開土王碑等しか残っていない。本書は、いずれの史料も額面通りに受け取らず、それぞれの偏向を加味し分析することで加耶/任那の姿に迫る…というものなのだが、そのプロセスは正直理解できたとは言い難い…。サブタイトルにもなっている、「倭の拠点」の有無については、倭系ではあるが加耶の→2024/11/02

fseigojp

8
前者には倭風前方後円墳がある2024/11/10

赤白黒

8
日本史を学べば一度は必ず目にする「加耶/任那」。その実態は史料的制約があり掴みづらい。本書は研究史から現在の論点に至るまでわかりやすくまとめており、面白くて一気に読んでしまった。従来倭王権の半島出先機関と言われた「任那日本府」について、欽明紀などを見る限りとても倭王権の意思に沿って動いているとは思えず、非常に違和感を覚えていたものだが、本書を読んで合点がいった。また、広開土王碑にみえる倭の姿は高句麗王の立場を反映し多分に誇張されていることなど、学びが多かった。それにしても、いつの時代も国境地域は大変だ。2024/11/10

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