出版社内容情報
二大政党への不信、EU離脱…。英国政治が揺れている。かつて理想的とされた議院内閣制を変貌させつつある英国に日本は何を学ぶか。
内容説明
政権交代のある二大政党制、強いリーダーシップ…英国の議院内閣制は、日本など各国から理想的な政治モデルと見られてきた。しかし、スキャンダルや政策の失敗により、保守党と労働党はともに国民の信頼を失い、支持基盤の空洞化が進む。さらにEU離脱をめぐる混乱は世界の失望を招いている。危機に直面した英国は、国家構造を改革し、議院内閣制を変貌させる道を選んだ。この英国の挑戦から日本は何を学ぶか。
目次
第1章 議院内閣制とは何か
第2章 政府と政策運営―集権化は何をもたらしたか
第3章 政権党と首相の権力
第4章 二大政党制の空洞化と信頼の喪失
第5章 国家構造改革とは何か―政治不信への英国の回答
終章 政治不信の時代の議院内閣制―日本政治への含意
著者等紹介
高安健将[タカヤスケンスケ]
1971(昭和46)年、東京都生まれ。94年、早稲田大学政治経済学部卒業。同大学大学院政治学研究科を経て、2003年、ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスにおいて博士号取得(Ph.D.:University of London)。北海道大学大学院法学研究科講師、成蹊大学法学部助教授を経て、2010年より成蹊大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はっせー
123
久しぶりに読んでみたいと思って読んでみた本。改めて得るものがあると感じた本である!議院内閣制の模範とも言われるのがイギリス。私たちの住む日本もこのイギリスをモデルにしている。そのイギリスが変貌している。それを引っ張ったのがサッチャー首相とブレア首相であろう。この2人の改革によってイギリスは変化していった。それはいい意味でも悪い意味でも。そしてその変化の後に訪れたEU離脱問題。その問題を立ち向かうべく新たな変化を起こし始めた。日本の政治改革はイギリスの2人の首相の影響を受けたものだとわかった。また読みたい!2021/05/22
かごむし
24
イギリスの議院内閣制についての書かれた本。制度の説明からはじまって、制度が持つ力、そこから導き出されてきた政治の形、制度の前提が崩壊したことから、変化してきた議院内閣制。イギリスの政治にはもちろん詳しくなかったけれど、丹念な記述の裏付けがあってわかりやすかった。また、議院内閣制という制度を語るためには、その国の政治を理解する必要があり、今のイギリスという国がどういう状況なのか、EUとの関係など、マクロな視点で、そしてミクロな視点でも理解できることが多かった。日本の政治を考える上でも示唆に富んでいると思う。2019/11/30
Tomoichi
23
民主主義の母国だの何だのと言われるイギリス。当たり前だが、イギリスで民主主義が受け入れられたのは彼らの歴史の文脈で理解しなければ単なる民主主義教でしかない。そして彼らの議院内閣制も政党も同様にその歴史を知らなければ理解出来ない。そのまま持ってくるなら伊藤博文も帝国憲法や帝国議会の成立に苦労していないのである。未だに舶来もの信仰の頭で我が国の民主主義を否定するのはやめよう。本家本元と言われるイギリスも苦悩し変化し自分たちの民主主義を作り上げているのである。2024/07/07
coolflat
14
日本の議会政治は英国をモデルにしているといわれる。90年代以降、日本は英国のように小選挙区制をとっており、小選挙区による二大政党制により政権交代が容易になると説明されてきた。ところが、本場の英国では総選挙に由来する政権交代は、過去30年で、1997年と2010年の2回にとどまるという。これを見ると、(特に英国をモデルとした)小選挙区制は政権交代をあまり促さないことになる。翻って、現在の日本を見ると、安倍一強の政権交代の起こらない硬直した状況が続いている。皮肉だが、日本に英国型の議会政治が浸透したといえる。2019/12/07
宇宙猫
13
面白いけど読む根気が続かなかった。2022/04/02