出版社内容情報
7世紀に初の金属通貨が登場してから現在まで、日本人はお金とどう付きあってきたか。庶民の生活にも注目し、エピソード豊富に描く。
内容説明
都の建設のため国産銭が作られた古代、中国からの輸入銭に頼った中世、石見銀山の「シルバーラッシュ」が世界経済をも動かした戦国時代、財政難に苦しめられた江戸の改革者たち、帝国日本の通貨政策…。無文銀銭が登場した7世紀から現在まで、通貨をめぐる歴史はエピソードに事欠かない。通貨政策に大きな影響を与えてきた庶民の事情にも着目しながら、その歩みをたどる。今も昔も私たちを悩ませる、お金をめぐる通史。
目次
第1章 銭の登場―古代~中世(都の建設のために;外国銭の奔流、国産銭の復活)
第2章 三貨制度の形成―戦国~江戸前期(シルバーラッシュの中の信長・秀吉;江戸開幕、通貨の「天下統一」)
第3章 江戸の財政再建と通貨政策―江戸中期~後期(改革政治家たちの悪戦苦闘;開港前夜の経済成長と小額通貨)
第4章 円の時代へ―幕末維新~現代(通貨近代化の試行錯誤;帝国の通貨と戦後)
著者等紹介
高木久史[タカギヒサシ]
1973年、大阪府生まれ。96年、神戸大学文学部卒業。神戸大学大学院文学研究科、同大学院文化学研究科を経て、2000年、織田町歴史資料館(05年、越前町織田文化歴史館と改称)学芸員。05年、博士(学術、神戸大学)。08年、安田女子大学文学部講師、14年より同准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本
89
一般的に歴史では戦史や政治史に注目が集められるがそれらと切っても切れないのが通貨であり、知らなかった事ばかりだった。参考文献の多さからも知識量の多さが伺えるが、写真も多く分かりやすい。歴史好きであれば知っていても良い内容だし、雑学好きにも勧めたい一冊。2017/07/09
佐島楓
61
ここまで通貨の変遷を通史として扱った本を今まで読んだことがなかったので、大変勉強になった。2016/09/28
かごむし
41
読むのに時間がかかった。古代から現代までの通貨の変遷を通して、今までのお金に対するイメージがすごく変わった。説明自体はわかりやすいし、その都度は言っていることもよくわかるんだけど、通貨に対してわかったつもりになっていたものが、何がなんだかわからなくなったところで読了。ともあれ、一つの切り口をもって世の中を見ていくことの面白さを知った。はじめて知ることも多くて、知的な好奇心がガンガン刺激される。「歴史を知ることは、『現在の通貨が唯一絶対に正しい』という思い込みから、私たちを解放してくれる」と著者。なるほど。2016/09/26
skunk_c
23
通貨の問題は歴史を学んでいるとその時代ごとに登場するが、古代から現代までを見通した通史というのは珍しい。単位とか細かい事柄が多く、ちょっと読むのに難儀したが、得るところの多い本だ。特に江戸時代、三貨制度の成立とともにその交換レートの変動が様々な影響を与えたこと、幕府は通貨発行益を財政の重要な要素にするため改鋳を繰り返したこと、そして何より江戸期に貨幣経済が浸透していったことがくっきり浮かび上がっている。植民地支配における通貨や、戦後沖縄の通貨制度にまで目配せが届いており、日本経済史を学ぶ際の必読書と思う。2016/10/16
俊介
21
今まで読んだ日本の貨幣についての歴史の本の中で、一番体系的かつ具体的だったと思う。こんな詳しく明らかになってるのか!と驚き。知りたかった江戸時代の通貨政策も割と詳しい。そもそもの疑問、「お金って何?」という問いには簡単には答えは出ないのだろうが、歴史にはそれを考えるヒントが散りばめられてるから読んでて面白い。「瓦礫でもお金になる」と言い放った江戸時代の政治家の話が出てくるが、案外本質なのかも。お金の価値の実体なんて後付けでしかなく、SNSのように「みんなが使ってるから私も使う」程度のものなのかなと感じた。2021/09/07
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