内容説明
一九六〇年代初め、サルトルの実存主義に代わり、西洋近代を自己批判的に解明する構造主義が世界を席捲した。レヴィ=ストロースをはじめ、ラカン、バルト、アルチュセールの活躍。六八年の五月革命と前後するフーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダによるポスト構造主義への展開。さらには九〇年代の管理社会論と脱構築の政治化へ。構造主義の成立から巨匠たち亡き後の現在までを一望する、ダイナミックな思想史の試み。
目次
第1章 レヴィ=ストロースの「構造主義」とは何か
第2章 構造主義的思想家たちの興亡―ラカン・バルト・アルチュセール
第3章 構造主義からポスト構造主義へ―フーコー
第4章 人間主義と構造主義の彼方へ―ドゥルーズ=ガタリ
第5章 脱構築とポスト構造主義の戦略―デリダ
第6章 ポスト構造主義以後の思想
著者等紹介
岡本裕一朗[オカモトユウイチロウ]
1954年、福岡県生まれ。1984年九州大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。九州大学文学部助手を経て、玉川大学文学部教授。専攻は哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aster
69
確実に、出会えてよかった本の一つになる。デリダ以降の文章は少し難しかったが、それ以外はとても読みやすかった。全てとは言わないが巻末にて紹介している本を読んでいきたいなと思う。ソーカル事件を(知の欺瞞を読んで)知ってしまったとしてもやはり読む価値はある。まぁこれも知の欺瞞を読んだからこそ言えるのだが。2020/04/18
harass
44
フランス現代思想の概観をまとめた新書。 著名な重要人物たちの紹介と著作物と提唱した概念のいくつかや当時の時代との絡みや、現在のフランス現代思想の旗手たちの紹介がある。新書なのでボリュームが少ないが最低限は押さえてあるようだ。 こういう類書をこれまで読んだことがあるがごく最近に出たもののせいもあるが、ずいぶんと毛並みが違っている。はじめににあるように、突き放した視点が新鮮だった。個人的にいろいろ感じ入ったところがあった。2015/10/08
翔亀
43
シリーズ読書【始原へ】で民族誌を読み進めるうちに辿りついたレヴィ=ストロース『野生の思考』の人類学の含蓄の深さ(現代社会を見直す力)に圧倒され、レヴィ=ストロースを読み続けようと思った。一方でそれは、フランス構造主義の隆盛の始まりでもあったわけなので、一世を風靡した構造主義/ポスト構造主義/脱構築とは何だったのか、確認したくなった。この流れをフランス現代思想史として冷静に跡付けた本書はうってつけだと思った。しかし。。。■構造主義/ポスト構造主義とは、当時大学生だった私にとっては浅田彰「構造と力」と↓2021/04/07
chanvesa
41
流れがつかみやすく、理解が進んだ。しかしフランスの現代思想家たちが問題をつかむものの、その具体的な解決まで展開していないことが多い気がする。思想家・哲学者はそういうものか。現代のインターネットを初めとしたメディア・インフォメーションのによる権力、管理社会の問題は欲望と大きく関係するだろうし、コミュニティの崩壊と新しい「コミュニティ」への期待という問題もあるだろう。そして民主主義への絶望やらISを初めとしたテロリズムの戦いは、ファシズムというカテゴリーを大きく上回っている気がする。問題だらけなのだ。2015/11/14
佐島楓
34
思想的通史と構造主義とは何ぞやという知識が一挙に得られ、個人的にはとても有益な本だった。各学者が著書を発表した当時どのような反響があったか、どのような関係性があったかがかなり整理され、頭に入ってきた。2015/04/17