内容説明
長く人類はまずいものを繰り返し食べてきた。「美味しいものをお腹いっぱい食べたい」という欲求が強いのも無理はない。美味、珍味の探求は世界の人々の日常行為となっており、たべものへの関心は高まり続けている。本書は、食材、調理法、食事のしきたり、さらに各地各時代の食文化などを広く紹介するものである。味覚の満足、心躍る会食、そして健康増進のために、たべものについての正確な知識は欠かせない。図版多数。
目次
第1部 たべもの・のみもの(始まり;米;その他の穀類(麦類を除く)
小麦粉 ほか)
第2部 料理・食事・食文化小史(台所;料理;調味料と香辛料;食べる道具 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryoichi Ito
5
「食文化全体を一冊の本で解説する」ことをねらって書かれた。古今東西の食文化を網羅した百科全書のような本だ。参考書もたくさん挙げられている。惜しむらくは索引がついていない。 2023/12/17
zerosant
2
食文化のはじまりはダイナミズムに溢れているなと感じた。なぜそれを食べようと思ったのか、のオンパレード。思いつく食材はだいたい載ってるといっていいほどの情報量。新書なのに辞書みたいに使える。 本の中で一番好きな文は「古代ローマ帝国の皇帝は夏期にアルプスから万年雪を奴隷に運ばせ、蜂蜜で甘くして食べていた。シャーベットの祖型である」というもの。ダイナミックすぎんか。 2022/09/27
とりぞう
2
「魚は種類が多く、旬の魚を食べることが日本の伝統的食文化の基本であった。これが食材の種類が少なく、季節による変化のない肉食文化との大きな差異をなしている」とか「丼はうな丼にはじまり、天丼は江戸時代末期、牛丼は明治初め、親子丼は明治末期、そしてカツ丼が大正10年頃考案された。これらが五大丼である」なんて話など。2016/10/06
niz001
2
『物語』といってもストーリー仕立てではなくむしろ『事典』。食文化の入門書にいいなぁこの本。好書。2014/04/29
奇天
2
非常に素晴らしい。簡素かつ抑制のきいた文章で、食について多岐にわたって説明している。食材の歴史だけでなく、調理施設や道具、料理についての考え方などにまで触れている。ウィットもあり寸鉄もありで辞典とエッセイの中間的な読み物と言えるだろう。2012/01/10