内容説明
完全無欠な人間が完全な情報を得て正しい判断をする―これが経済学の仮定する経済人である。だが、現実にはこのような人間はいない。情報はあまりに多く、買い物をしたあとでもっと安い店を知って後悔する。正しい判断がいつも実行できるわけではなく、禁煙やダイエットも失敗しがちだ。本書は、このような人間の特性に即した「行動経済学」を経済学史の中に位置づけ直し、その理論、可能性を詳しく紹介する。
目次
第1章 行動経済学とはなにか
第2章 時間上の選択
第3章 不確実性下の選択
第4章 アディクション
第5章 ゲーム理論と利他性
第6章 行動経済学の挑戦
著者等紹介
依田高典[イダタカノリ]
1965年、新潟県生まれ。1989年、京都大学経済学部卒業、1995年、京都大学大学院経済学研究科修了、博士(経済学)。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。その間、イリノイ大学・ケンブリッジ大学客員研究員などを歴任。専攻・情報通信経済学、行動健康経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
84
最近行動経済学という分野に少し興味を持ちつつあります。心理学や経営学の意思決定論ともかぶる分野があって興味深い分野だと思います。ノーベル賞をもらった学者もいたと思いますが、経済学的な視点からの人間行動理論の分析という感じでもう少し本格的な本を読んでみたくなりました。2015/10/07
ステビア
12
中公新書らしい堅実・厳密な議論がなされている。その分面白さには欠けるかな。構成に少し難あり。2015/07/07
isao_key
12
感情や思考に基づいて、どのような行動を取りやすいかを数式を用いて細かく分析する。心理学的手法を採った手法は、以前呼ばれていた経済心理学の方がいいように思う。人間は効用の水準で評価しているのではなく、なにか判断の金額を想定し、それよりもどれくらい上回るか、下回るかで判断しているという参照点モデルは理解できた。またケネス・アローの選択肢が3つ以上あるとき、すべての個人の選好を「民主的」なルールで集計する社会的選好を導くことはできず、誰か特定の個人の選考を反映したものにならざる得ないは、そんなものかなと思う。2014/03/11
miyatatsu
8
行動経済学を学習し始めた身としては、非常に参考になる内容でした!2018/11/30
大先生
6
行動経済学の入門書といえば、経済学なのに数式がほとんど出てこない、実験結果に基づいて人が不合理な判断をしてしまうケースとその理由を紹介するものが多いところですが、この本は違います。数式や図がバンバン出てきます。京大での講義ノートをベースにしつつ、「一般の方にも私の思いが届くように」新書として書かれたようですが、果たして、その思いが私に届いたかどうだか…苦笑。ヒューリスティクス、アノマリー、アディクション、行動経済学の世界が少し分かった気がします。(←そう思いたいだけの不合理な感想かもしれませんが。笑)2020/07/22