中公新書
戦う動物園―旭山動物園と到津の森公園の物語

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  • サイズ 新書判/ページ数 226p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121018557
  • NDC分類 480.76
  • Cコード C1245

内容説明

旭川市の旭山動物園は、いきいきと活動する動物の姿を強烈に印象づける「行動展示」で注目を集めている。一方、北九州市・到津の森公園は、一度は閉園したにもかかわらず、愛着を持つ地域住民の活動により、市民が支える動物園として劇的な再生を遂げた。ふたつの動物園の園長は、苦難の時代にあって使命を忘れず、わずかなチャンスを形あるものに変えた。両動物園の園長が語る、人と動物と社会のおりなすドラマ。

目次

1 旭山動物園の衝撃(雪原の風景、ホッキョクグマの衝撃;旭山動物園フィーバー;到津の森公園の静かな波紋;おたがいに尊敬しあう心;旭山動物園ぺんぎん館の秘密)
2 どん底(「動物園の使命は終わった」のか?;旭山動物園に出す金はドブに捨てるのと同じ? ほか)
3 逆転(市長が私を呼んだ;「これは私にとっては気合を入れた勝負だった」 ほか)
4 これからの子どもたちへ―動物園から(先人の思い;子どもは無限の可能性;「こうなればいいな」と望むことが、かなえられる)

著者等紹介

小菅正夫[コスゲマサオ]
1948年(昭和23年)、札幌市生まれ。73年、北海道大学柔道部・北海道大学獣医学部獣医学科卒業、旭川市旭山動物園に就職。同園飼育係長、副園長を経て95年より園長。鳥類の染色体、猛禽類の野生復帰、野生動物医学を専門とする。(社)日本動物園水族館協会副会長、文部科学省中央教育審議会臨時委員、北海道環境審議会自然環境部会専門員。柔道四段

岩野俊郎[イワノトシロウ]
1948年(昭和23年)、下関市生まれ。72年、日本獣医畜産大学獣医学科卒業。73年、西日本鉄道株式会社到津遊園に就職。97年、同園園長に就任。2000年の到津遊園閉園後、01年、西日本鉄道株式会社を退職。北九州市都市整備公社到津の森公園準備室長を経て、02年、到津の森公園長となる。(社)日本動物園水族館協会理事(種保存委員会事務局長)、NGO日本アイアイファンド理事、NPOサンクチュアリプロジェクト理事

島泰三[シマタイゾウ]
1946年(昭和21年)、下関市生まれ。71年、東京大学理学部卒業。房総自然博物館館長、日本野生生物研究センター主任研究員、国際協力事業団マダガスカル国派遣専門家(霊長類学指導)などを経て、現在、NGO日本アイアイファンド代表。理学博士(京都大学)。マダガスカル国第五等勲位「シュヴァリエ」(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおた

12
か……漢だ……。電車でぼろぼろ泣きながら読んだ。「我々の理念はどうなるんだ!」と他人に怒れる仕事をしているか、「苦情がなくちゃ、動物園はよくならない」と開き直れるか。信じる人はいつでも愚かで、美しい。北海道はペンギンの散歩で名をはせた旭山動物園、南は西鉄が手放して自治体管理になった到津の森公園。進む道は異なれど、園長2人の動物園にかける熱さは必読。レッサーパンダの短命は餌の問題とか、遊園器具を入れれば金になるというのが近視眼的な危険性をはらむとか、常識を覆しつつお偉方と戦う人たちの姿に圧倒される一冊。2016/01/09

yamakujira

5
旭川の旭山動物園と北九州の到津の森公園、行動展示で注目を集め全国区になった北の人気動物園と、民営施設としていったんは閉園しながら市民の要望で復活した市営公園に併設されている動物園、立地もコンセプトも知名度も対照的なのに、どちらも獣医出身の園長は動物園の存在意義を子供の未来に託す熱血漢で、ふたりの出会いが必然だったと思えるね。公営施設だと収支の判断が難しいけれど、やっぱり来園者数が評価基準なのか。失礼ながら到津の森は知らなかったし、旭山はコロナ前に訪ねたけれど混雑しすぎで残念だった。 (★★★☆☆)2023/02/15

やん

4
近いうちに到津の森に行こうと思っているので事前学習として読んでみた。旭山の小菅、到津の岩野両園長(当時)の対談を、同席した島が取材を加えて編集し本になったもの。シンプルな対談本ではないので誰の発言か分かりにくく、地の文の島が突然会話に加わったり主張を始めたりという構成が幾分読み辛かった。それでも内容が興味深いのでどんどん読み進んだ。それにしても動物園の運営は大変だ。特に公営の場合はお役所的いろいろがあるんじゃないかと想像してしまう。この星に生きる生物を知り自らを知るためにも動物園の存在は貴重だと思う。2023/02/15

ももんが

3
図書館にて。旭山動物園と到津の森公園、残念なことにどちらもまだ行ったことがありません。『旭川市議会で動物園に出す金はドブに捨てるのと同じだと言われた。悔しかったが言い返せなくて黙って帰ってきた』というくだりは読んでいてとても悲しかった。『人間が正常に暮らすには野生の動物がそばにいることが、どうしても必要だ』『野生の動物がいないと、人間は精神を病む』という言葉を読んで、本当にその通りだと思い、そして今この時代に一緒に生きている動物たちが、これからも人と一緒に生き続けてほしいと強く願った。 2023/02/14

pajamajp

3
動物園のことを考えるといつか来る人間園のことを考えざるを得ない2018/08/08

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