内容説明
「判決と国民感情に隔たりがある」「裁判に信頼が置けない」という声が聞かれ、裁判官による不祥事もしばしば取り沙汰される。司法制度改革をめぐる論議でも、「国民が裁判に積極参加できるシステムを」との意見が大勢を占め、裁判員制の導入が決まった。司法の担い手である職業裁判官たちに今、何が起きているのか。法服をまとった「聖職者」たちの重責と苦悩とは。人が人を裁く現場を追い、あるべき司法の姿を探る。
目次
第1章 刑事裁判(東名高速二児焼死事件;オウム真理教事件・松本智津夫公判 ほか)
第2章 民事裁判(ハンセン病国家賠償請求訴訟;尼崎公害訴訟 ほか)
第3章 最高裁判所(ある分限裁判;十五人の判事の人選 ほか)
第4章 素顔の裁判官(抜擢判事の挫折;自殺したエリート判事 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
223
社会で起きたトラブルを全て解決に導けるように判決を出さないといけない裁判官の苦悩が垣間見えた。自分の考えで死刑や危険人物を社会に戻すことにもなってしまいかねないのは難しい仕事だなと思う。同時に民事でも金、家庭の問題はややこしいなぁ。2020/03/07
紡ぎ猫
5
オウム真理教や東電OL殺人、公害病裁判など世間で取りざたされた事件に関わった裁判官たち。「現在上告中」など未決着の事件が多くて消化不良気味に終わったが、本書の出版年が10年以上前なので、そのほとんどが今頃は決着しているだろう。つい最近「違憲」と判決された非嫡出子相続権問題は、この本の中ではまだ「合憲」とされている。「国民感情がそこまで熟しているか」を考慮し「日本的な、情緒的合憲判決」としている。裁判官が数年ごとに転勤するのは、全国の判決を均質化するため、癒着を防ぐためなど。でも7割が東京勤務を希望するとか2013/09/22
ルカ
2
裁判官という仕事は非常に難しく大変な仕事だと改めて感じた。 なぜ、殺人を犯してそんな短い刑期なのか? なぜ、判決が出るまでにそんなに長い年月がかかるのか? ということもほんの少しだけだけれど、わかった気がする。2018/08/21
添川
2
事例集として素晴らしい本だった。実務として裁判がどう行われるのか以前から興味があったが、それに応えてくれる本だった。本書を読むと、法解釈がいかに重要であるか理解できると共に、現行法が現代の感覚に合っているとは限らず、それを是正するために、立法府が努力し続けなければならないのがよーく、よーく理解出来た。選挙はだいじ。2016/03/25
naaaaaachan
1
いろんな事件のことを知るのが好きで、深いところまで知りたいなと思い読みました。出会いは図書館のオススメコーナー。知ってる事件も数多く記載があり、改めてウィキペディアで読んだりしてまたいろんな真実が知れました。本としては読みやすく前半は読み応えがありました。後半の最高裁についてはあまり興味が持てなかった…でも裁判官のことを満遍なくしれた気がします。また裁判官を題材にしたドラマって言われてみればないなって。 もっとこの本をいろんな人に読んで知っていただきたいと思いました。日本を知るためにも是非おすすめ。 2017/11/22