内容説明
「最近カエルの声を聞かないね」という声を耳にするようになって久しい。この、間のぬけて愛嬌のある身近な生きものについては、よく知っているようで知らないことが多い。そこでまずカエルの属する両生類の祖先から話を始め、日本に生息するカエルのすべてを紹介し、さらに世界中の変わったカエルを取り上げる。また、薄い皮膚を持つ、か弱いカエルが環境変化の犠牲となりつつある現状への警鐘を鳴らす。
目次
1 カエルは両生類(両生類と他の脊椎動物の関係;両生類の特徴 ほか)
2 日本のカエルたち(日本のカエル相;本土のカエル ほか)
3 世界の変わったカエルたち(すみか;かたち ほか)
4 消えていくカエル(カエルの特性と環境指標としての有用性;世界各地でのカエル個体群の減少 ほか)
著者等紹介
松井正文[マツイマサフミ]
1950年(昭和25年)、長野県上田市に生まれる。1972年、信州大学繊維学部繊維農学科を卒業。75年、京都大学大学院理学研究科を中退、京都大学教養部助手、同助教授、大学院人問・環境学研究科助教授を経て、現在、教授。日本爬虫両棲類学会長、世界爬虫両棲類学会議(World Congress of Herpetology)運営委員などを務める
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
39
カエルについての本が、実はあまりないとは意外だった。そういえば、と言われて初めて気がつく。本書は地質時代の先祖の話から、日本での種類や分布、いろんなカエルの生態、絶滅危機について述べられている。研究者がとても少ないのも意外で、なぜ身近に親しまれてきたカエルの研究がされないのか、不思議ですらある。生態系の中で重要な位置をしめる点、他の生物と変わらない。近年の急速なカエルの減少(種類も個体数も)が、環境破壊のもたらした人間への警告であるかもしれない。初版から20年後の今、果たして事態はどう変わっているか。2022/05/28
とりぞう
3
しかし知らないことばかりで驚いたな。たとえば「ウシガエルはもともとアメリカ東部原産の帰化種で、日本には1918年を皮切りに、食用ガエルとして何度か移入されたらしい。各地の水産試験場を中心に養殖が行なわれ、冷凍腿肉は缶詰として輸出された」なんて知ってました? さらに「成体はとくにアメリカザリガニを好んで食べるが、共食いもするし、他種のカエル、魚、鳥のヒナ、ネズミさえも食べる」。すごいじゃん>ショクヨウガエル。読んでる間中とても楽しい本だった。2016/07/31
Arisaku_0225
2
カエルと言う身近な生き物で解っているつもりでも、分類や進化、そして絶滅の危機等多くの分野で研究が不十分で不明なことが多かったり、新たな説や新種が報告されたりと、カエル学はまだ未完成であり、さらなる研究が必要である。去年だか一昨年でも日本が新種報告されてるしね。この本が出版されたのが2002年と比較的古く、分類も少々違うと思われる(専門じゃないんで……)が、カエル学の入門書としては読みやすく、内容も進化も分類も全世界のカエルの生態、そして現代のカエルツボカビ病を始めとした絶滅の危機まで触れている。おすすめ2022/01/18
Joséphine
2
カモノハシガエルの子育ての様子を拝見したかったがすでに絶滅…… とても残念2013/03/07
mashi
1
心の隣人。2016/05/14
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