出版社内容情報
米軍の撤退完了から、三十年が過ぎようとし、ベトナム戦争は忘却の淵に沈みかけている。ベトナムでもアメリカでも、この戦争を知らない世代が増えてきた。だが一方で、その実像を明らかにし、両国の誤算と誤解の解明を目指す試みも始まっている。べトナムは、「民族の世紀」と「アメリカの世紀」が激突した戦場であり、各地に飛び火する地域紛争の原型だった。広い視野に立つ精密な記述で、ベトナム戦争の全体像が浮かび上がる。
内容説明
米軍の撤退完了から、三十年が過ぎようとし、ベトナム戦争は忘却の淵に沈みかけている。ベトナムでもアメリカでも、この戦争を知らない世代が増えてきた。だが一方で、その実像を明らかにし、両国の誤算と誤解の解明を目指す試みも始まっている。ベトナムは、「民族の世紀」と「アメリカの世紀」が激突した戦場であり、各地に飛び火する地域紛争の原型だった。広い視野に立つ精密な記述で、ベトナム戦争の全体像が浮かび上がる。
目次
第1章 米ソ冷戦の狭間で
第2章 解放者から征服者へ
第3章 北方の巨人の影
第4章 破綻する国家建設戦略
第5章 地域創造の論理
第6章 二つの「ネバー・アゲイン」
著者等紹介
松岡完[マツオカヒロシ]
1957年熊本県生まれ。1980年東京大学教養学部教養学科卒業。1986年、筑波大学大学院社会科学研究科博士課程修了(法学博士)。立命館大学助教授を経て、現在、筑波大学社会科学系助教授(政治外交史)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくけんちょ
65
もの凄い密度で構成されている。ページ数は、さほどでもないものの、共産主義、宗教、人種、西欧とアジア、世界大戦を含む歴史的な流れなど、とんでもなく複雑にこんがらがっている。これらを紐解くには、並大抵の俯瞰では見通すことができない。本書は、テーマごとにある程度の理解を与えてはくれるものの、テーマごとであるがゆえに時代ごとの捉え方ができない。ベトナム戦争、歴史的重要度は高く、知っておく必要がある。2020/03/20
佐島楓
58
朝鮮戦争、その前の大戦からつながる各国の関係性が理解できた。国が他国や民族に及ぼす影響がいかに大きかったか。なぜ戦争は繰り返されるのか・・・。2016/04/04
イプシロン
46
ベトナム戦争はあまりにも複雑で、どの国が悪くて、どのような施策が戦争を泥沼化させたということが出来ないことが理解できた。いうなれば、国家や国境、政治体制、冷戦期という時代性といった言葉によって作られる構図をすべて取り払うと、利己主義や他者を支配しようとする人間の傲慢さが炙りだされることを痛感させられた。ベトナム戦争全般を見わたそうとするなら、タイ、ラオス、カンボジアといったインドシナすべてを視野に入れなければならないし、米ソ中、そして日本の与えた影響も顧慮しなければならないからだ。2020/04/01
ステビア
23
色々なファクターが絡まってとても難しい…国際政治は複雑怪奇なり2021/11/06
Kazehikanai
19
ベトナム出張のお供として、6つの横糸で見るベトナム戦争史。一般常識レベルで知っている認識が覆る記述もしばしば。例えばベトナムのインドシナ覇権主義と言えるカンボジアやラオスへの野心。複雑なベトナム戦争の背景や事実を知ることができた。時系列でないので、何度もこの戦争前後を行ったり来たりする読みにくさはあるが、同時平行では記述しきれないほどの複雑さが、どちらかというと欧米視点で分析されている。何冊かのベトナム戦争本を読んだと思えば、貴重な一冊。ベトナム戦争は一冊の本では語りきれない。今日はベトナム建国記念日。2017/09/03