内容説明
クモは人間よりはるかに長い四億年の進化の過程で、糸を生み出した。住居をつくるのも糸、餌を捕えるのも糸。クモの糸は伸縮性、耐久性などで現代のハイテクをしのぐ高い機能性をもっている。高分子化学を専攻していた著者はクモの糸にからめとられて二十年余、試行錯誤をくり返しながら、「自然から学ぶサイエンス」を実践してきた。安全性を考慮し、リサイクルに配慮した糸をつくるクモに、われわれが学ぶことは多い。
目次
第1章 クモの不思議に出会う
第2章 クモの糸を採る
第3章 クモの糸から世界が広がる
第4章 クモの糸の神秘的な性質
第5章 クモから学ぶ環境と応用
第6章 安全性の科学
著者等紹介
大崎茂芳[オオサキシゲヨシ]
1946(昭和21)年兵庫県に生まれる。’69年大阪大学理学部高分子学科卒。同大学院理学研究科博士課程修了後、マイカル商品研究所長、島根大学教授を経て、奈良県立医科大学医学部教授。理学博士、農学博士。専攻は生体高分子学、高分子物理化学
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感想・レビュー
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二笑亭
4
身近な存在ではあるものの、奇怪な姿と習性から嫌われてしまうクモ。なんでクモが足を巣にくっつけず歩けるのか? クモの糸の強度は? などクモの糸や巣のメカニズムを紹介していく。糸の塩基配列などの細かい部分は専門用語が多くちょっと分かりづらいが、要点自体は解りやすく、3分の1くらいは著者の苦労話も盛り込まれているので物語としても読みやすい。セアカゴケグモは交尾後オスを食べるので「後家」とか、芥川龍之介「蜘蛛の糸」の地獄までの糸の長さが計算と合うなど、途中で紹介される雑学も興味深かった。2022/04/11
takao
3
クモの糸は2本で構成されている。2022/12/23
たかボー
0
普段から、クモの巣を見ると縦糸に触れて「丈夫で凄いなぁ」などと感心していたが、本書を読むことで改めてクモの糸に感じ入った。前までは、ジョロウグモを見つけても見た目が気持ち悪くて触りたくもないと思っていたのだが、この本を読んでからだと、何故か手に取って観察してみたくなってしまうから不思議。クモの巣を見つけたらこれまで以上に観察してみよう。ただ道を歩くだけでも楽しみが増えた。作者のようにクモの糸を採取するというのも経験してみたい。それを撚り合わせたりしてみたい。2015/11/20
そーだ
0
借り物。2012/05/20
Kanbukyoukou
0
面白かった。 ギンメッキゴミグモの種名に懐かしさ。2014/09/25