中公新書<br> 子ども観の近代―『赤い鳥』と「童心」の理想

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中公新書
子ども観の近代―『赤い鳥』と「童心」の理想

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  • サイズ 新書判/ページ数 220p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121014030
  • NDC分類 909.021
  • Cコード C1236

内容説明

子どもを無垢な存在と見なすロマン主義的な子ども観は、日本では明治末に興り、大正中期の『赤い鳥』を中心にした「童話・童謡」運動で確立した。このイメージは、基本的には現在までも引き継がれているといえる。本書は、巌谷小波にはじまり、鈴木三重吉を経て多くの文壇作家たちが筆を染めた児童文学を素材として、近代特有の子どもに関する新しい「知」が、どのように生まれ、どのように普及していったかを辿る試みである。

目次

序章 子どものイメージ
第1章 お伽噺から童話へ
第2章 『赤い鳥』というメディア
第3章 『赤い鳥』の子どもたち
第4章 「童心」の時代
結びにかえて―「童心」の修辞学

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シルク

15
もう何度目の再読か分からん。名著でありますーー少なくともわたくしは、この本がだいすきなのです。これを読むと、鈴木三重吉や北原白秋の「赤い鳥」教育運動というのが、こう…なんと言ったら良いのか、ごはん食べて洟垂らして大便小便して、意味なく大声あげて意味なく駆け出したりして、鉛筆なめなめ文字を綴り、涙こぼして汚い袖口でそれを拭ったりする、現実のこども達の為のものでなかったのだということがよく理解できる。つまり三重吉や白秋は、現実のこども達の向こう側に、この世のどこにも実は無い理想を見てた。「童心」という理想を。2022/11/08

シルク

10
昔は紙本で持ってた。線を引きまくり、書き込みしまくりで、買い直したりした。早速読みたいけど手元になくて、図書館で借りたこともあった。もう、この本、この先も何回も再読するだろうなと思った。そんで、電子書籍で購入した😋 これがなかなか、いい塩梅。「本はやっぱ、紙本でなくっちゃ💥」と、長年思っていて、意図的に電子書籍を避けていた。だけど、使いようによっては、これ、甚だ便利ねぇ😆 今回は、鈴木三重吉に関する原稿を書く際、自分にエンジンかけるための、手始めに…という感じで読んだ。2025/01/03

柳田

6
ルソー的な無垢な存在としての子ども観が、近代日本においていかに形成されたか、いかなる影響を及ぼしたか、児童文学を題材として論じる。実に面白かった。1998年の本で、修論をもとにしたもの。ところで今はどうなっているのだろう。かつては大人が教育的な意図を持ってものを読ませた、あるいは作家が子ども向けに書いたりしていたわけだが、今の子どもはどういうものを読まされるのだろうか。そもそも文学を読ませようという親は少ないとは思うが、読ませている人はどんなのを読ませているのかな?2018/02/11

りぃ

5
このアプローチ(知識社会学)にとても興味を持った。私がやりたいのはこれなんじゃないだろうか?最近、昭和期の教養青年についての新書が出ていた気がしたけれど、それも併せて読んでみたい。時代ごとに子供に求めるものが変わってゆくのが面白い。2020/10/16

オオタコウイチロウ

2
1、『赤い鳥』の〈子ども〉観とは、①市民社会的平等、博愛、道徳に支えられた「よい子」②堀辰雄「風立ちぬ」子ども版とでも言うべき「弱い子」③徹底した弱さの強さの「純粋無垢な子」。2、そうした大人による理想的〈児童〉観は、〈母性〉礼賛を伴ったが(白秋等)、それは男性目線でのセクシャルな“女性“像を免れておらず、男性的かつ観念的なぶん、客観存在としての現実「女性」を捨象した。3、その〈子ども〉は、〈近代的自我〉に至る媒介項(不可侵の内面)でありつつも、農本主義的共同体、前近代的ユートピアに抜ける素地を持った。2024/02/05

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