内容説明
本書では、多種多様な動物を紹介しながら、種の多様性だけでなく、個体の生き方・性格・分布、固体群や群集の変化などを、空間的、時間的に考察し、その多様性の成立条件と守り方を考える。
目次
第1章 成功する個体と失敗する個体
第2章 個体の分布のかたより
第3章 いかに生き繁殖するか―生活史変異
第4章 動物の個性
第5章 動物社会の変動性
第6章 個体群の変化と変異
第7章 さまざまな関係
第8章 種数の決まり方
第9章 群集の中身のちがい
第10章 多様性を守るために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Arisaku_0225
14
面白い.生態学というと,種以上の次元でのお話が多く,また数式やら方程式やらが出て来る印象が多いし,この本もその例には漏れないが,他の本よりもより「個体」への注目度が高く,興味深かった.また,著者が提唱している「個体モザイク論」ー種によって,食物や生息場所が決められるというよりは,個体や場所によって,活動内容がちがうーという考えは,もし今後の研究で真だと明らかになれば,生物保全の分野で新しいムーヴメントが起こりそうな面白い仮説だった.2024/05/06
茶幸才斎
6
生物多様性とは、単に生物種が豊富というのではない。捕食関係や寄生・共生、競争などの異種間の相互作用や、同一種の個体群内の資源を巡る競争や順位の形成、また同種の個体間にさえ見られる生来の、あるいは環境による行動差など、生態系が今このようにあるのは、予測不能な偶発的要因も含め、多数の要因が同時に持続的に作用している総体的な結果である。だからこそ理解が難しい。これを無理に単純なパターンやモデルで表わすのは危険であり、その意味で、公共事業等で実施される環境影響評価にどれ程の実効性があるのか、甚だ疑問に思えてくる。2012/11/02
家の中のぱっぽ
2
95年出版ともあり、生態学としては古い知見になるが、それでも生き物の生活史やそれらと環境との相互作用の基礎について興味があったり学びたい人にとっては読んでみるといいと思う。 個人的には飼育動物にも応用できそうな知見や文献が紹介されていたので、自分なりに仮説検証する研究に繋げられそうなので、ためになりました。2021/01/07
Solanum tuberosum
1
魚類の生態について詳しく解説されていました。時間があるときに、もう一度じっくりと読みたいです。2012/11/05