内容説明
カール大帝の文書に地名が記されて、今年1200年祭を祝うフランクフルト。中世以来、神聖ローマ皇帝の選出・戴冠都市であり、大市開催地であり、近代にあってはドイツ統一運動と国際金融の中心地となり、今日では欧州連合の中央銀行の所在地となった。この地はまたゲーテ、ロスチャイルドを生み、ビスマルク、ヒトラーに嫌われた都市でもあった。本書はこの特異な都市の歴史を辿り、ドイツの歴史を興味深く描き出している。
目次
第1部 中世から近世へ(中世都市フランクフルトの成立;国王の選挙と戴冠式;大市の発展とブックフェアの起源;ユダヤ人とゲットーの建設;宗教改革とフェットミルヒ反乱)
第2部 近世から現代まで(ゲーテの時代―フランス革命前後;フランクフルト国民議会からプロイセン都市に;産業革命と都市の拡大、金融都市化;ワイマールからナチ体制へ;終戦の破局からヨーロッパの経済首都に)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
9
ドイツという国情ならではの特異な金融都市フランクフルトの歴史。知らないことばかりで面白く読めた。2017/07/01
てり
1
1994年9月発行でやや古いが、フランクフルトがどういう街かという概要をつかむには十分。麻薬の横行や治安の悪さなどは知らなかった。現在はどうなっているのだろう。リンゴ酒が気になる。2022/02/03
keepfine
1
フランクフルトの庶民の住宅問題は戦後復興期から今日に至るまで続く問題。当時は地方からの出稼ぎで住宅供給が追いつかず。先日旅行でフランクフルトを訪れたが、フランクフルト市内はあちこちが再開発の最中でクレーンが林立していたのが印象に残っている。またこの件は戦後の住環境を前提にハイデガーが「人間は住む動物だ」とドレスデンで講演した話と符合する。フランクフルト市長は終戦前から戦後復興を見据えており、終戦後は公務員からナチス職員の追放を短期間で実現し以後の金融都市としての発展へつながる。2019/01/19
汲平
0
記述は古いが、フランクフルトの歴史の概要を俯瞰するには好適な内容、分量2013/03/26