中公新書<br> 回教から見た中国―民族・宗教・国家

中公新書
回教から見た中国―民族・宗教・国家

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  • サイズ 新書判/ページ数 192p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011282
  • NDC分類 167.2
  • Cコード C1222

内容説明

中国回教徒は、唐の時代、アラブ、ペルシアから来華した人々に源をもち、軍事、商業に活躍した元の時代、厳しい弾圧に激しい宗教戦争を戦った清の時代、抗日戦争で日本の西方進出を阻止した民国時代、階級闘争と民族解放にゆれる現代と、中国史の重要な鍵となってきた。故郷を失い、母語を失い、血縁と信仰を自らのアンデンティティとして中国文化の海の中を生きつづけてきた回族の運命に、中国の国家体制と宗教信仰の根幹を問う。

目次

第1章 なぜ中国の至る所に回族が存在しているか
第2章 重い清代の中国回教史
第3章 共和制に入って
第4章 社会主義時代の中国回教

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

10
国と言語の紐帯を失い、イスラムによってのみ結びつく回族。著者自身敬虔なイスラム教徒であるが、本書では全く触れられていないが、紅衛兵創立メンバーであった過去を持つ。専門であるジャフリーヤ派への弾圧などを中心としながらも、中国共産党への期待と失望について触れる段になると、行間に血の滲むような痛みを感じる。イスラムが国家に管理される傾向はこの後更に加速するが、著者も嘆く通り、経済的発展によって人々の心が宗教から離れていることは我々キリスト教徒にとっても他人事とは言えない。考えさせられるところが多い本。2019/11/30

wei xian tiang

4
台湾で会った馬さんは雲南のムスリムの家系と言っていたが、ちょうどイドゥルフィトリの時期だったので水を向けるも通じず、生活からイスラム暦は失われていたものの、豚を食べないという一点は守っていた。雲南はかつて中国全土の回族がメッカに向かう巡礼路の要地であったとのこと。著者は「紅衛兵の時代」の張承志。回族出身であるがやはり体制側の人間であり、チベット軍による玉樹や西康チベット人地区回復運動を否定し、青海省軍によるチベット族制圧を「安定」と肯定的に評価しているのが遣り切れない。2014/10/06

印度 洋一郎

4
中国の、いわゆるイスラム教徒と呼ばれる回族。自身も回族である著者が、古代(唐朝時代)から1990年代までの歴史を概観している。これを読むと、回族は中国に根を下ろしてはいるが、漢族とは異なる世界を持つ、微妙な立場が伺えた。様々な出自を持つ回族=ウィグル人では無く、イスラム教徒=回族でもないところも(世俗化した者も多い)、彼らの置かれた複雑さを浮き彫りにしている。清朝への叛乱、民国時代に西域に覇を唱えた回族軍閥の日本軍との戦い、文革時の弾圧、そして現在の官営イスラムの実態など、知られざる中国史だった。2011/12/17

卯月

2
職場本棚。中国に住み漢語を話す回教(イスラム教)徒・回族の歴史を、回族である著者が日本語で記す。外見・言語が漢族と同じで、信仰を拠り所とする人々のアイデンティティ。回鶻(ウイグル)、回回人などの語は見たことあったが、ウイグル人はトルコ系言語を話すイスラム教徒で回族とは別と初めて知る。歴史にいろいろ絡んでいて面白かったが、最初にイスラム教の一般的な説明が欲しい(後から伝来した宗派の説明はある)。あと、年表と中国全体の地図。唐、元、清、二次大戦〜現代と扱う時代が飛ぶし、○○省と言われてもどこか解らない(泣)。2014/08/04

天茶

1
★★★★★2025/02/20

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