内容説明
江戸最大の別邸尾張藩下屋敷は戸山荘と称された。東海道を写す大庭園には四季を彩る花木やお花畑、流れる清流を溯れば水音を響かせる滝の飛沫が樹木を濡らし、所所に茶室が設けられ、池中の島には弁天堂が祀られるなど様々な趣向が凝らされていた。しかも、なぜか30数軒の町並みがあり、酒屋や薬屋・本屋などの店頭には本物の品々が並べられ、将軍たちも散策にたびたび訪れた。今、まったく姿を消した戸山荘の全像を復元・検証する。
目次
序章 東京の箱根山
1章 戸山荘の造営
2章 戸山の春
3章 虚構の町「御町屋」
4章 武家たちの聖域
終章 戯作的建築
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃん吉
3
庭園内に宿場町を再現した御町家が興味深い。茶店、酒屋、経師屋等の町家の数37軒、間口の総長約207mというスケール自体圧巻ですが、入り口には戯言の高札が設けられたり、園遊会の際には、各店に、実物、木製の商品などを置いたりして飾り付けがなされ、将軍も買物の真似事などしたに違いないとのこと。民百姓の血税で無駄な贅沢をしているともいえますが、趣向を凝らした庭園の様子は、読んでいるだけでも何とも楽しげで、庭園を満喫する武士の姿は微笑ましくもあります。それにつけても、現存していないのが惜しまれます。
兎旦那
3
今あったら、僕も見たかったなあ戸山荘。そう思ったのは当時の武士も同じで、江戸の文化人蜀山人こと太田南畝もそう思ったらしい。尾張藩と言う破格の家格をもつ大名の庭園だからなかなか見る機会がなかったらしい。本書のなかで僕がすきなのは、当時の将軍もお付の武士も同じように楽しみ、将軍様もお付の武士に楽しむように結構粋な心遣いをしていたようだ。こういうところに江戸の余裕を感じる。
しんこい
3
ハウステンボスだの現代のテーマパークや、プチトリアノンだけでなく、江戸の街にも宿場町を模した庭園があったというのは驚きだし、人間の想像力は大したもの。大名は、その辺の金持ちとはやっぱり違います。2011/10/04
ホンドテン
2
図書館で。江戸御府内の50%以上を占めた大名屋敷、その中でも破格の規模を誇った尾張藩江戸屋敷の庭園・・・面白い。2008/05/05
屋根裏の塩
2
尾張藩の下屋敷であった戸山屋敷は、広大な庭園をもち、そこには宿場町を原寸大で再現した「御町屋」をはじめ、数々の宮、社、茶屋、山、池等がつくられていた。現在は、そのうち「箱根山」のみが東京都新宿区戸山公園に残っている。今はなき戸山荘をくわしく知れる一冊。2010/05/26
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