出版社内容情報
一見豊かに見える帝国はオアレ稲という優れた品種の生産に依存していた。やがて綻びが生じて危機が訪れた時、アイシャは立ち上がる。
内容説明
「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」―かつて皇祖が口にしたというその言葉が現実のものとなり、次々と災いの連鎖が起きていくなかで、アイシャは、仲間たちとともに、必死に飢餓を回避しようとするのだが…。オアレ稲の呼び声、それに応えて飛来するもの。異郷から風が吹くとき、アイシャたちの運命は大きく動きはじめる。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
1962年東京生まれ。文学博士。川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』で作家デビュー。著書に『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズなど。野間児童文芸賞、本屋大賞、日本医療小説大賞など数多くの賞に輝き、2014年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞。2020年、マイケル・L・プリンツ賞オナー、日本文化人類学会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
527
上・下巻、900頁弱、完読しました。香君×植物×蝗害、壮大な物語、世界観堪能しました。但し、著者の傑作群と比べて少し物足りないのは、草食系の優しい物語のせいでしょうか。まだまだ続きそうな終焉でした。 実は地球は植物が支配しているという話を想い出しました。農業を始めたことが、地球(人類)滅亡の第一歩だったのでしょうか? https://books.bunshun.jp/sp/kokun2022/05/10
とろとろ
314
稲に発生した害虫はいったんは駆除されたかに見えたが、やがてその害虫の変位種が現れる。次にはその害虫を食べるバッタが現れる。バッタは害虫を食べ、ついでに稲も食い尽くす。稲に依存してきた帝国に危機が訪れる。次々と災いの連鎖が起きていくなかで、主人公の少女は仲間たちとともに必死にバッタの害を回避しようと模索し、ついには皇帝をも巻き込む。やがてその努力は実を結び、少女はついに初代と変わらぬ実力を持つ「香君」となる。予想したとおりの結末になったな。上下巻いっき読みだった。お腹いっぱい稲を食べた気分。久しぶりに満足。2022/08/05
ちいこ
273
面白かった~。厳しくも美しい世界を堪能しました。2022/04/28
のぶ
224
下巻に入っても、特殊な能力を持ったアイシャの、オアレ稲の不思議な生態についての調査が続いていく。それは奇跡の稲であったが、オオヨマという害虫に弱いことが分かってくる。やがてバッタの大量の襲来のよる蝗害が発生し、帝国は飢餓の危機が迫ってくる。アイシャは力を合わせ、この危機を回避すべく対策を講じていくが・・。全体を通し壮大な物語のなかで、アイシャがしっかり者で行動に好感を持った。今まで上橋さんの作品は「鹿の王」しか読んでいなかったが、本作は植物をテーマにしていて、また違った視点で描いた傑作だと感じた。2022/04/15
美紀ちゃん
220
読んでいて思ったのだけど、ページ数が多いのに(460ページ)厚みが薄い!すごい。そして出てくる食べ物が本当に美味しそう。薄焼きもパリッとしているし。お肉も上手く焼かれていて絶対に美味しいやつ。ウルド師出てきた?と思ったら後書きに登場!(笑)後半のアイシャの成長ぶりが清々しい。オリエさんはあきらてめいたマシュウと生きる道が開けて本当に良かった。幸せになってほしい。香君なのに旅をするアイシャ。孤独と感じているようだが、生き甲斐をもうすでに感じている人なので、未来は光がさしているのだと思う。とても良書。2022/04/20