内容説明
沖縄は地理的に遠く、日本本土の趣きの異なる歴史と文化をもっているため、歴史を区切る概念も、文化を貫く美意識も、それらを表現する言語も、すべて本土的な尺度でははかれない。本書は、単に日本列島の一島嶼群として捉えるのではなく、広く太平洋文化圏の中に位置づけ、日本人および日本文化のルーツの1つともいうべき沖縄の歴史と文化を、諸分野の研究成果を取り入れながら紹介する、沖縄の実相を識るための入門書である。
目次
序章 太平洋文化圏の中の沖縄
第1章 沖縄歴史のあゆみ
第2章 沖縄の言語と文化
第3章 神歌にみる宮古・八重山の歴史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
沖縄には一度行った事があるけど、空や海の青さや花々の美しさ、兎に角原色の美しさが記憶に残っている。その後民俗学関係でノロやユタ等、一部の事柄については知るものの、総体で知る事は少なかった。そんな自分にも沖縄の基礎知識を教えてくれた一冊。古代から現代までの歴史始めオモロやウタといった文学に村や宮廷の芸能、先島諸島の文化。それらをただ紹介するだけではなく、人類学民俗学の知見を踏まえたうえで説かれているので、無知な自分にもイロハから教えてくれるのはありがたい。自分の中の漠然とした沖縄に形が与えられたようである。2022/05/01
翔亀
35
【沖縄16】書名は"歴史と文化"とあり、歴史編と文化編からなるが文化史(文学史・芸能史)が主眼だ。著者は国文学者いや沖縄文学者(?)で、沖縄の古い神歌<オモロ>を採録した「おもろさうし」(16世紀~17世紀)の研究者(岩波文庫版の校注者)。だから簡潔な歴史編も「おもろさうし」を引用するなど類書とは一線画す。文化編は言語・文学・民俗・芸能・音楽・絵画などを概観する。盛りだくさんでこの小冊子ではいかにも紙面が足りない感は否めない。逆に言えば刺激満載なのだ。■まず日本と比較してしまうのはいいことなか悪いこと↓2021/11/05
Aminadab
25
柳田国男『海南小記』を読みかけたが沖縄知識がゼロなので、いちばんオーソドックスな入門書として手に取った。1986年の本だから写真が不鮮明だがお薦め。もとはNHK市民大学講座(1965~1981年)のテキストで、著者(1924~2012年)は沖縄出身の国語学者。『おもろさうし』(16~17世紀)の専門家なので言語・文学がいちばん詳しいが、考古・歴史・儀礼・芸能、さらに本島だけでなく宮古島、八重山諸島までカバー。要点網羅を眼目とした旧式の新書だが読み応えあり。オモロ(ノリトの類い)本文多数収録が嬉しい。2023/09/08
ステビア
20
太平洋文化圏の中の沖縄2023/02/09
ふろんた
10
沖縄の歴史を文化、風習、祭事から紐解く。コトバの面で読みづらい部分はあったが、ためになる。祭なども多くあるも人頭税の話など、人々困窮している。島国のおおらかさの善し悪しが出ています。2013/11/22