感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だまし売りNo
22
二〇二二年のロシアのウクライナ侵攻ではプーチン大統領がおかしくなったという見解が指摘される。米国のマルコ・ルビオ上院議員はTwitterに「プーチン氏は明らかに何かおかしい」と指摘した。これは日本人には豊臣秀吉の晩年と重なるだろう。これに対してプーチンは平常運転との反論がある。プーチンはチェチェンでもシリアでも残虐なことをしていた。これも秀吉の絶頂期の小田原平定での山上宗二を残酷に処刑したことと重なる。 2022/03/12
skunk_c
13
信長に比べ新書レベルでの評伝が少ない秀吉。30年前の著作であり、今は新しい事実がでているかもしれないが、なにしろ公的記録にその名が出たのが20代後半ということで、潤色・創作の多い太閤伝の類を丹念に読み解きながら彼の幼少時を推論していくのは、歴史家としては大変だけど面白いことなのかもしれない。一方朝鮮出兵あたりから明るく人好きのする秀吉が変わっていったこと、そしてその出兵を明治期以降政府がもてはやし、日清・日露戦争~日韓併合期にブームにまでなっていたことを批判的に取り上げている。これも歴史家の矜持であろう。2015/09/19
nobody
9
コーランを題材とする日本語の本がアラビア語の原文引用ばかりだったら誰しも著者の頭を心配するところだが、日本史の本を古典引用ばかりにしても誰も文句はいわぬ。さらに史料の比較考量など「研究過程」に筆を費やすという読者無視を行って恥じないので、歴史学者は自ら存立基盤を掘り崩すという奇特ぶりを発揮していく。かくて「どうだったか判らない」しかいわぬ無能歴史学者に代わって真理究明という本来なら学者の仕事を担ってくれる司馬遼太郎の独壇場となる。司馬史観「問題」とは司馬の個性に起因するのではなく、歴史ものの伝承にまつわる2023/02/02
kenitirokikuti
8
図書館にて。1985年の中公新書である。著者経歴は、2007年の段階で静岡大学教育学部教授。「Ⅴ.天下人秀吉の実像」の末尾には、太閤検地に関わるところで、〈 松好貞夫氏のいう「秀吉の国家統一の経過は、そのまま近世封建農奴の生い立ちの記なのである」(『太閤と百姓』)という指摘を、もう一度かみしめる必要があるのではなかろうか。〉(p.151)▲享保7年に幕府の出版取締令。権現様や御当家について木版出版を禁止している。1804年、「天正以来の武者に姓氏をあらはし」もダメに。1802年完結の『絵本太閤記』が絶版に2021/06/12
hoiminsakura
5
3年ほど前からの再読。もっと詳しく知りたいこともあったが、ページ数の限られた中で、駆け足ながらも小和田氏の思いが色濃い内容に満足。特に朝鮮侵略戦争における残酷な振る舞いを記述した章の後、最終章「再生産される太閤伝説」で、秀吉人気が明治以後の軍国主義的な侵略戦争を正当化する手段として教育、娯楽の素材となった件は、日本人として恥ずかしさを禁じ得なかった。2021/12/09