感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
著者は静岡県在住の、教員も務めた郷土史家。古代から伊豆半島に盤踞した水軍の系譜を、江戸時代まで辿った労作。元々は農業に適さない半島沿岸に住む人々が、自活するために海への活動を求め、その活動の過程で自衛も兼ねて武装したのが水軍の始まり。平安末期の保元の乱に連動した源為朝への加勢が歴史上に見る伊豆水軍の本格的登場。その後、戦国時代に全盛期を迎え、後北条氏、今川氏、里見氏、武田氏等の諸勢力の間で貴重な水上兵力として幾多の合戦に加わる。しかし、最終的には秀吉の小田原攻めによって、その歴史に終止符が打たれた。2023/05/20
takao
2
☆古代海人族の記念としてのクスノキ、タブノキの古木2024/04/14
韓信
1
九州・四国から紀伊半島、伊豆半島、房総半島までの黒潮文化圏での海人族の移動から生まれた伊豆半島の海賊。造船の記録が残る古代から源為朝や南朝への協力、後北条氏旗下での活動、小田原征伐を受けての壊滅まで、その盛衰を描く。まさか伊豆水軍で一冊の新書ができるとは、という印象だが、熊野をルーツにする山伏と海賊の結合勢力という一面や、伊豆在住の著者ならではの地域の自然環境に根差した海賊活動への洞察、後北条氏のみならず今川・武田や里見水軍への目配り、後北条氏の伊豆諸島での植民地支配的苛政など、内容の充実っぷりが侮れない2018/08/12