感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
11
性格は先天的なものなのか、それとも後天的なものなのかをクレッチマーなどの分析を元に検証する。精神病に絡めた性格の分析などは、患者を型にはめてしまう古い考えとしか思えなかった。現在ではこれに当てはまらない症例も多数出てきているのだろうし、こういった偏見に近い考えがあった時代があったと認識するのにはいいのかもしれない。2013/11/02
riviere(りびえーる)
8
【30年ぶりの再読】性格について素質論と環境論を軸に述べている。少し古い感じがするけれど、クレッチマーに週に1度指導を受けていたとか、V.フランクルと文通していて「モーツァルト・カッフェで会った」などの描写には驚く。ヒステリーやパラノイアの人たちが歴史の転換点で大きな役割を果たしていることにも触れており、これは最近言われている有能なサイコパスの人々にも通じる。全ては両価的であり、愛についてはニーチェを引用し「全ての愛のうち、最も深淵にして最高の愛は、復讐と憎悪の木の幹から生長したものである」といっている。2016/01/25
酒井一途
2
人格分析の権威であるクレッチマー博士の分類を元に症例を挙げながら人の気質について述べている。半世紀近く前に書かれた本だが、人間の性格の傾向など簡単に変わるものでもないので十分読める。こういった分類が幾らか頭に入っていると、人を分析して見ることができるので良い。2012/03/27
MH
1
高校生くらいの時に読んでとても影響を受けた本。性格類型の描写がとにかく文学的で格調高く、古き良き学問世界の香りがする。分裂性気質に憧れ、いつか精神分裂症を発症したらどうしよう・・とドキドキしたものだがただのオッサンに成長してしまった。
すっち
1
素質(性格)は後天的なもので変えることができるという米国の「環境論」と、性格は先天的なもので変えることはできないとするヨーロッパの「素質論」の両論を軸に、性格が変わりうるものであるなら何が変わりやすく、そして何が変わりにくいものなのかを考察していくという内容。性格分類で有名なクレッチマー博士を中心にしながらもブーバーやフランクルも登場させて性格学を論じているのは面白かった。性格は変わらないものであっても、その性格に対してチャレンジし克服する努力をすることで自己の欲求を満たすことができるという考えが骨子。2013/03/07