出版社内容情報
海沿いの街の一軒家で、タロは父ちゃん、母ちゃんと暮らしている。
不思議なオニやカッパ、牛のぬいぐるみの「上田」が話し相手だ。
ミュージシャンの父ちゃんは最近ほとんど仕事がなく、
タロを連れて最後の「どさまわり」に出ることに。
門司港、山口、広島、尾道、倉敷、京都……
崖っぷち歌手の父ちゃんと、3歳のタロの旅。
どんどん成長していく子とのかけがえのない日々を描く、泣き笑いの傑作長編。
【挿画】多田玲子
【目次】
内容説明
あたりまえだった日々も懐かしくなる―。3歳のタロと、崖っぷちミュージシャンの父ちゃんの珍道中。親子の時間のかけがえのなさに笑いながら泣けてくる、宝物のような長篇小説。イラスト・多田玲子、『読売新聞』夕刊好評連載。
著者等紹介
戌井昭人[イヌイアキト]
1971年、東京生まれ。文学座を経てパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げし、脚本を担当、出演もしている。2009年「まずいスープ」で芥川賞候補になる。その後、「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」と、4回、芥川賞の候補になるも落選。一方、14年「すっぽん心中」で川端康成文学賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tomi
35
読売新聞の連載小説。口も達者な3歳児・タロが、父ちゃん(ちょっとドジな売れないミュージシャン)のドサ回りツアーに付いていく。その土地土地で出会う個性豊かな人々との交流を描くロードノベル。「息子のため、生きる指針になんてなれないだろう。むしろ反面教師だ。だから、人生のお手本にはなれないぶん、友達として一緒に遊ぶことを優先している」(p204)。上田ウシノスケ(牛のぬいぐるみ)になりきって会話をしたり、まさに二人の関係性は子育てというより小さな友達。子育て経験はありませんが、こんな関係も良いなと思えます。2026/01/30
tetsubun1000mg
28
筆者の作品は「壺の中にはなにもない」に次いで2冊目となったが、とんでもないミスを連発するという青年が登場するのは共通している。 主人公の父ちゃんもあまり売れていないミュージシャンで心配になるほど。 3歳児のタロの設定が上手く、落語を聞いて自分で新作風の落語を部屋で演じている。 幼稚園にはいる前の幼い子供と親や周囲の人々との会話が、リアルでほのぼのと感じられる。 車の移動や宿での食事や会話が結構リアルで、筆者か周りの人のエピソードから創作したのでしょうか? 温かさのなかにも悲しさも感じられて結構面白い作品。2026/02/23
おかむら
26
戌井さんの長編家族小説。読売新聞夕刊に2024年2月から1年間の連載。日々ののささくれだった気持ちを夕方ゆるーくほぐしてくれる連載、毎日読めた読売読者が羨ましいわー! 三浦半島に住む売れないミュージシャンの父と3歳の息子タロの何気ない日常、後半はライブハウス巡りのロードノベル。ずっーと読んでられるアホっぽい心地よさ。オニとカッパとウシも良き。挿絵も良き。2026/01/19
ソングライン
17
売れない歌手の父ちゃんとブックデザイナーの母ちゃんそして3歳になるタロの3人家族は横須賀市にある町に引っ越します。タロは自分の部屋が持てそこでオニとカッパと毎日会議を行い牛のぬいぐるみの上田になりすます父ちゃんも参加します。タロが幼稚園に通い始める前にタロは父ちゃんのどさまわりツアーに同伴します。楽しい二人の珍道中に癒され、特に尾道の住職とのセッションは最高に笑えるのです。緩くて悪人の登場しない戌井ワールドを堪能です。2025/12/01
そうたそ
14
★★★★☆ 海沿いの街の一軒家で父ちゃん、母ちゃんと暮らすタロ。オニやカッパが話し相手となる日々だが、そんな中、タロは売れないミュージシャンである父ちゃんとどさまわりの旅に出ることに。著者らしいユーモアと優しさに溢れた作品で、大きな事件こそ起こらないが、ずっと読んでいたくなる心地良さがあるストーリーだった。旅先で出逢う個性溢れる人たちとの交わりもまた微笑ましい。時に笑い時に泣き、登場人物たちと感情を共にしながら、気づけばタロの成長を見守っていた。挿画もまた作品の世界観と合っていて、とても良い。2025/10/16




