出版社内容情報
先生は、わたしの秘密の〈魔法使い〉だった――。
長谷川はんなが通う寒々しい保育園に、突如担任としてやってきた黒原ローズ先生。それから15歳まで、はんなを支えた先生の〈魔法〉とは?
名作『氷の海のガレオン』、話題作『ぼくらは、まだ少し期待している』の著者による、待望の書き下ろし長編。
【目次】
ローズ先生
トム・ティット・トット
こどものとも
サミール
パンチング・ギル
穴
光る本
旅 客
魔法の夜
Hannah
蝶々の渡り
【目次】
内容説明
秘密の〈魔法使い〉だった先生との思い出が、今、わたしを支えてる。長谷川はんなが通う寒々しい保育園に、突如やってきた黒原ローズ先生。その後9年間、はんなを力づけ続けた〈魔法〉とは?〈本好き〉にこそ読んでほしい、じんわり心ふるえる物語。
著者等紹介
木地雅映子[キジカエコ]
1971年生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。93年「氷の海のガレオン」が第36回群像新人文学賞優秀作となる。94年、同作のほかに2篇を収録した単行本『氷の海のガレオン』を刊行しデビュー。同書で坪田譲治文学賞にノミネートされる。2007年、初の長篇となる単行本『悦楽の園』を上梓(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
62
長谷川はんなは保育園児。園長も副園長もこどもたちに向き合うこともなく、若い先生たちはすぐに辞めてしまう寒々しい保育園。そこに突如やってきた黒原ローズ先生。はんなを理解し守ってくれたローズ先生がかけた魔法とは?9年ののちにはんなが気づいたことは…。木地雅映子さん、初読み。2025/07/31
よっち
19
通園する保育園に寒々しいものを感じていた長谷川はんなが、突如担任としてやってきた黒原ローズ先生と出会う物語。施設もおもちゃも本もボロボロで、先生もすぐに辞めてしまうブラックな保育園。保育園の空気を実感しながらも、最後まで預けられ本を読んでいるしかなかったはんなが、ばら組の担任になったローズ先生と運命の出会いを果たす展開で、子どもをきちんと子どもとして扱い、時には厳しく時には守るべき存在として扱うローズ先生には不思議なパワーがあって、過酷な環境が浮き彫りになるはんなを導いてくれた先生には救われる思いでした。2025/08/05
鳩羽
5
教室も園庭も狭く、保育士もすぐ辞めてしまうブラックな保育園に通うはんな。夜間保育まで預けられ、いつもお迎えも最後。過酷な保育園生活のため、無気力に大人しく絵本ばかり読んで自らを守ってきたはんなだが、あるとき不思議なローズ先生が現れる。…おとなびて、少しずれたところのあるはんなの視点から描かれる、保育園ライフ。そこから浮かび上がる、ダメな大人達の様子。はんなが自分の魂を守るための空想と世界の知覚を感じさせる掌編が続くが、中学生になってからの方が俄然読みやすく面白くなるのはしょうがないか。2025/08/02
4545
0
最後にはほっこりしたけど、55歳の親父にはちょっと辛かった。2025/07/25