出版社内容情報
幼い頃からから、ピンクもリボンも恋愛も好きではなかった。
だから私は、世界から逃げ出した――。
「やさしい死に方」を教えてくれるという喫茶店に集まった三人。
「女」であることへの違和感を押し殺してきた沙保。
家の関係で、ゲイであることを誰にも言えなかったミナト。
そして、なぜここにいるのかわからないほど、全てから自由に生きる律。
奇妙な共同生活の中で、沙保はこれまでの「当たり前」から解き放たれて――。
内容説明
この喫茶店には死ににきたはずなのに、胸が躍るような予感がした。「やさしい死に方」を教えてくれるという喫茶店に集まった三人。「女」であることへの違和感を押し殺してきた沙保。ゲイであることを誰にも言えなかったミナト。そして、なぜここにいるのかわからないほど、自由に生きる律。奇妙な共同生活の中で、沙保はこれまでの「当たり前」から解き放たれて―。
著者等紹介
安田依央[ヤスダイオ]
1966年、大阪府生まれ。関西大学法学部政治学科卒。司法書士。2010年に『百狐狸斉放』で第23回小説すばる新人賞を受賞し、2011年に単行本『たぶらかし』として刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
83
沙保の母親…自分の価値観は親子であっても押しつけちゃいけないな😔 2024/11/22
えみ
56
これは過去に見つけてしまったわたしの感情だった。孤独で空っぽ。家族や友達といても妙に寒い。他人の目の中に映る自分を演じる操り人形。気付かなければそれはとても楽で、それが自分だと、個性だと納得しながら生きることができる。だけど…一度でもこれが本当の自分なのだろうか?と疑問を持ってしまうと“まほろば“は霧消する。世の中変わったと言えど未だ「ねばの呪い」は根強い。「結婚せねば」「子供を産まねば」「化粧をせねば」「愛さねば」‥等。心の置き所も感情の寄せ所も失う覚悟で呪いをとけば強く生きていけると囁いてくれる一冊。2024/10/20
ブルちゃん
37
表紙と題名に一目で惹かれました🥰著者の方の思いが込められた本で、アセクシュアルという言葉を初めて知りました。女性という性への葛藤が描かれています。自分と向き合い、お話にするのは涙が出そうだと思いました。そして、この間読了したヒュナム堂書店同様、この待合室の喫茶店にも、通いたいと心から思います🥹ヒサエさんや、律さんみたいな人とお話できたら、すごく元気になれそうです。2024/10/26
ユカ
12
最初は読むほどに沙保に対する嫌悪感が強くなって、読破は諦めようかと迷ったけれど、途中で、ああ彼女が抱えているのは私が過去にとらわれていた価値観だと気づいた。人にどう思われるかとか、女性あるいは男性の幸せとはなんて、重さゼロの価値観だと思うけれど、幼い頃に身近な環境から植え付けられた場合には無限大の重さであるかのように感じてしまう。自分が本当に望むものを、みんなが大事にできる社会へと進化することを、心から願う。2024/12/05
眠り猫@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
11
多様性の時代。それでも生きづらい人たちもいる。そして、様々なものに縛られている人もいる。何物にも縛られず自由にしっかりと自分軸で生きているかのように見えた律さんの過去にそんなことがあったなんて。自分の人生は自分で進む道を選ぶんだよ、って導いてくれるお話でした。傷ついたことのある人は優しいのよね。2024/10/14