出版社内容情報
この物語には、二人の「私」と、二つの「真実」がある。
結城真一郎氏絶賛!
読み始めて思った。「王道の辻堂作品だ」と。
読み終えて思った。「まんまと騙された」と。
昼と夜で、一つの身体を共有する茜と咲子。
しかし「昼」が終わりを告げたとき、予想だにしなかった「夜」の真相が明かされる――。
内容説明
夜って、いいよね。人の本質が、見える時間。昼と夜で、一つの身体を二人で共有する茜と咲子。姉妹のような、親友のような関係を築いていたが、「昼」の終わりによって予想だにしない「夜」の真実が顔を覗かせはじめる。果たして、彼女たちが「最期」に見たものとは―。
著者等紹介
辻堂ゆめ[ツジドウユメ]
1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し『いなくなった私へ』でデビュー。『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞受賞。他の著作に『山ぎは少し明かりて』『十の輪をくぐる』(小学館)、『僕と彼女の左手』『あの日の交換日記』(中央公論新社)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
302
辻堂 ゆめは、新作中心に読んでいる作家です。本書は、解離性同一性障害ファンタジーミステリの群像劇、真相が明かされても、真実は藪の中のような気がしました。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2024/04/005778.html2024/10/03
パトラッシュ
300
交通事故で寝たきりになった咲子と、同じく事故で両親を失った茜。相似た過去を持つ2人が出会ってファンタジックな展開かと思わせて、第2部では一転して予想外のドラマが待ち受けている。前提だったはずの話が唯一の真実ではなく、視点によって全く異なる意味を持つことが全体の伏線となっており、ノーマルなミステリではあり得ない微妙な人間関係の糸が解き明かされていく。やがて時間の錯誤と矛盾が解かれると状況はさらに三転し、生き残った者全員に救いが与えられるラストは深い余韻を残す。心地よい読書時間を約束してくれる、損はない1冊。2024/05/19
hirokun
201
★4 夜の部と昼の部に分けて違った視点から見ることにより、人間の複雑さを表現しようとした作品。帯の表現に引っ張られて期待して読み始めたが、私にとっては期待ほどではなかった。推理小説としての面白さは、分かり易い文章と相俟って期待通りのものであったが、夜の部分に期待した人間の持つ複雑さ、醜さ、解りにくさについてはもう少し突っ込んだストーリーを期待していただけに残念。2024/05/24
いつでも母さん
195
ラスト一行『弾き方を知らないはずのGコードがリビングの片隅に響いた。』くぅ、この結びは切なくて温かで綺麗すぎて・・でもホッとする。装画のイメージでファンタジーかなと思いつつ読み始めた優しい昼のはなしは第一部。あらあら、第二部は反転の夜のはなし。こちらはエグさ全開でこれでもかと晒される。人は一面だけではない。自覚があるから厄介だ。単純な私はドンドン飲み込まれて、自分自身の闇とも対峙するのが苦しい。昼間の明るく温かな光だけの人生なんてない。暗くてけれど独りが安心する夜もあっての人生だ。辻堂ゆめにやられた感じ。2024/06/12
のぶ
191
今までに読んだことのない辻堂さんの本だった。本は「第一部 昼のはなし」と「第二部 夜のはなし」で構成されているが第二部のついてはどこに触れてもネタバレになってしまうので、感想が書き辛いのだが、第一部は交通事故で両親を亡くした高校生の鈴木茜は「お話ボランティア」で交通事故で首から下を動かすことのできない29歳の女性、咲子さんと出会う。ここまではゆるい雰囲気。第二部に入ると冒頭で驚きの事実が明かされ、思わぬ方向に連れていかれる。その先は・・。辻堂さんの新たな一面を見られたが、いつもの温かい作品の方が好きだ。2024/05/05