出版社内容情報
この物語には、二人の「私」と、二つの「真実」がある。
結城真一郎氏絶賛!
読み始めて思った。「王道の辻堂作品だ」と。
読み終えて思った。「まんまと騙された」と。
昼と夜で、一つの身体を共有する茜と咲子。
しかし「昼」が終わりを告げたとき、予想だにしなかった「夜」の真相が明かされる――。
内容説明
夜って、いいよね。人の本質が、見える時間。昼と夜で、一つの身体を二人で共有する茜と咲子。姉妹のような、親友のような関係を築いていたが、「昼」の終わりによって予想だにしない「夜」の真実が顔を覗かせはじめる。果たして、彼女たちが「最期」に見たものとは―。
著者等紹介
辻堂ゆめ[ツジドウユメ]
1992年神奈川県生まれ。東京大学卒。第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し『いなくなった私へ』でデビュー。『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞受賞。他の著作に『山ぎは少し明かりて』『十の輪をくぐる』(小学館)、『僕と彼女の左手』『あの日の交換日記』(中央公論新社)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈*
23
交通事故で頚椎損傷し寝たきりで自発呼吸の出来ない咲子の元に、おはなしボランティアとして通うようになる高校生の茜。茜も両親を交通事故で亡くしていて自分を卑下していたが、穏やかで前向きな咲子に安らぎを感じ、ひたむきに力になろうとする。そんな二人の間にもう一人の私が動きだし、事態は過去の出来事を炙り出していく。昼と夜で表現されている人間の本質が見事に描写されていて、人が抱えている闇の部分を見せつけられながら、著者お得意の細かく散りばめられた仕掛けがラストに向け繋がっていく様は、最後の最後まで引きつけられる。2024/04/24
さわ
6
前半茜の綺麗な真実と後半サキの後ろ暗い真実。事故の後遺症で記憶を一部失い、寝たきりになった咲子が求めるのはどちらの真実か。一気に読み。前半ファンタジーぽいのが、一転後半ミステリーに2024/04/22
ユウハル
5
最後まで読んで衝撃が何度かあった。 この期待を裏切らない衝撃。最高。 そして茜や咲子さん、サキの気持ちを思うとずっと切なかった。かわいそうではなく、切ない。どうにもならない切なさが付きまとう。この感情が正しいのかわからないまま。もう一度茜と咲子さんに会いに行かないと感情が整理できないのかもしれない。2024/04/25
nami1022
4
茜が心を通わせる障害者の咲子の精神が夜中に茜に移って身体を共有するファンタジー、というプロットで始まり。。。辻堂先生の不思議設定をいくつか読んでいたのでその類かと思いきや。これもまた広義のどんでん返しとも言えるのでしょうか。夜のはなしは人間の闇の部分に触れていて心がゾワゾワしながら読みました。ただ、最後にもう一捻りあるか、突き抜けるような明るさかダークサイドかに振り切ったラストだったら尚読後感が良かっただろうな、と個人的な想いです。2024/04/27
大福
2
49冊目、プルーフにて読了。 ミステリーっぽくて、最初はホラー要素も!?って思ったけど、 青春だったり、人間の醜悪だったり 様々な要素が入り混じった、大満足の1冊でした。2024/04/02