出版社内容情報
正彦さんが定年を迎え、さてこれからは、一緒に旅行を……と期待していた二人。しかし、折しも世の中はコロナで自粛中。そんな中で、新たなフェーズに入った二人の生活は? 俳句、骨董と、趣味の道をきわめる正彦さんと、二次元コードに苦しめられたり、日々のちょっとした生活の変化を楽しんだりする陽子さんの日常を綴る、シリーズ最新作。
内容説明
『結婚物語』から40年。正彦さんが定年に!陽子さんが待ちに待った正彦さんの定年がとうとうやってきた。新型コロナのおかげで、おうち生活を余儀なくされた正彦さんは、家事能力が劇的に向上、トイレ掃除に至っては、陽子さんの追随を許さない高みへと達した。また、囲碁のみならず、俳句、骨董と趣味に邁進、現役時代より忙しい毎日に。両親の介護を二人三脚で終えた二人の、激動の定年生活を描く!
著者等紹介
新井素子[アライモトコ]
1960年東京生まれ。立教大学独文科卒業。高校時代に書いた『あたしの中の…』が第1回奇想天外SF新人賞佳作となり、デビュー。81年『グリーン・レクイエム』で、82年『ネプチューン』で連続して星雲賞を、99年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ででんでん
80
SFはちょっと苦手なので、新井さんの本をほとんど読んだことはなかったが、これはおもしろく、終始楽しい心持ちで読めた。スマホアプリについて、全くわからない陽子さんから、ほんのちょっとだけわかる正彦さんが問い詰められて「それが自分で判っているのなら、今、説明している」と繰り返すところ。「使わないクレジットカードが生きているのはまずいと思ったから、来た瞬間に叩き割っていたんだけれど」と陽子さんが言うところ。他にもブフっと吹き出すところがたくさん。私たち夫婦もおふたりのようにいろんなところに一緒に行けたらいいな。2024/04/26
あっちゃん
70
めちゃくちゃ久しぶりの新井素子(笑)中学生でコバルトで読み始めてから40年くらい?全然変わらない彼女の文章に懐かしさが込み上げるわ!でもちょっと本が厚くて持ちづらかった( ̄ー ̄)2025/04/09
pohcho
64
コロナ禍に61歳で会社を定年退職した夫と小説家の妻。今まで出来なかった家事分担を始め、多趣味な夫は新たな趣味(俳句)にハマり、IT音痴の妻はQRコードに苦しめられてとほぼ実話のエッセイのような物語。スマホは携帯しないけどぬいぐるみは携帯する、いつも本を読んでいて本屋の客のプロを自認する陽子さんはまんま新井素子さんのイメージ。旦那様は家事も俳句も最初はどうなることかと思ったけど、 最後にはおどろくほど成長されてすごい。定年後の暮らし、うちはまだ想像もつかないけど、二人のように仲良く暮らしていけたらいいいな。2024/06/21
よんよん
56
新井素子さん、いえ陽子さんはまさに同年代。旦那さんが会社を退職、毎日自宅に居るようになり、家事を分担してもらう事に…ああ、我が家の夫も退職したら正彦さんのように家事を責任もってしてくれるのかしら。出来るだけ長く、二人で過ごすことが幸せだと思うのは本当にいいなぁ。2024/05/11
ユーユーテイン
50
500ページ近い大部の本だが、著者の文体が昔と変わらず読みやすくてスラスラと読めた。夫の正彦さんが定年退職してから3年の間に起きた夫婦二人の生活の変化を描いている。退職後の生活を垣間見ることができて興味深かった。夫の趣味の俳句への邁進、家事の分担、親の介護、QRコードとの付き合い、冷凍食品の進化等々…。社会的にはささやかな出来事も、家庭にとっては重大事。それを楽しく読ませる著者の語りは、やはりプロの芸だと感心した。SF作家だけど昔ながらのやり方を愛して、IT技術をできるだけ避けている姿が微笑ましかった。2024/07/28