出版社内容情報
宇宙を、異世界を旅し、ヤマネコが歴史を見つめ、世界は彩りを失い/取り戻し、しがないおじさんはミニブラックホールにダイブし、植物状態の少女がVR世界を駆け抜ける――
いま最前線で活躍している中国の女性SF作家14人の傑作短篇で紡ぐ、変幻自在のアンソロジー!
内容説明
中国で活躍する女性作家14人が放つ珠玉のSF短篇。
著者等紹介
橋本輝幸[ハシモトテルユキ]
1984年生まれ。SF書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
37
「円」も良かったけど、この頃の中国SFの勢いは凄いですね。この本は現在活躍中の中国女性SF作家のアンソロジー。読んでいて感じたのは日本、欧米のSFから受けた影響です。14編の短編は多様性がありヴァリエーションに富んでいて、こんなにも多岐にわたったSFを書く人がいるとは本当に驚きます。ケンリュウや「三体」以前はSFマガジンで少し取り上げられていたぐらいのような気がします。この中では「走る赤」「完璧な破れ」「祖母の家の夏」「ポスト意識時代」がお気に入りです。2022/08/04
あおでん@やさどく管理人
33
序盤の「木魅」「夢喰い貘少年の夏」は日本を舞台にした作品だというのも面白い。SFを描く舞台として魅力があるのだろうか。後半は「言語」にまつわる作品がいくつかあるのが印象的。人間の認識・思考は母語の言語体系に影響を受けるという「サピア=ウォーフの仮説」。「完璧な破れ」はそれに基づき、理想的な世界を言語によって実現できないかという物語。結末はとても納得がいくものだった。考えてみれば物語も、1つの言葉では表しきれないものを表現する手段の1つだし。2022/07/24
くさてる
32
アンソロジーが好きなので、あまりなじみがないこのジャンルも手に取ってみました。個人的には近未来世界に怒りえる可能性を描いた「世界に彩りを」「ポスト意識時代」が、わが身に置き換えてもぞっとする話で良かった。「祖母の家の夏」も読後感が良くて好き。どれも色が違う作品ばかりで、一つ一つが魅力的で面白かったです。2022/06/26
かもめ通信
31
アンソロジーといえば、すごく良いなあと思う作品もあれば、これは今ひとつ、好みでは無かったなあ、と思う作品もある、というのが一般的で、あれもこれもすべて良かった! なんてことは、そうあることではない。だからこそ、この本に収録された14人の作家による14作品すべて、さらには「序」や「編者解説」にいたるまで、どれも面白かったということは、声を大にして言いたいところ。2022/06/20
ひさか
28
2022年4月中央公論新社刊。中国の女性SF作家14人SF短編アンソロジー。面白いアイデアがちりばめられているのだが、どうも馴染めない話が多く、読みづらかった。 【収録】独り旅:夏笳、珞珈:靚霊/山河多々訳、木魅:非淆/大恵和実訳、夢喰い貘少年の夏:程婧波、走る赤:蘇莞雯、メビウス時空:顧適、遥か彼方:ほかnoc、祖母の家の夏:郝景芳、完璧な破れ:昼温、無定西行記:糖匪、ヤマネコ学派:双翅目、語膜:王侃瑜、ポスト意識時代:蘇民、世界に彩りを:慕明2023/06/03