出版社内容情報
橋本治が命を賭して紡いだ長篇遺作。
愛と金、人はどちらに飢えるのか?
愛する人に裏切られた美青年・貫一の空洞が今、輝き出す――
尾崎紅葉『金色夜叉』の主人公・貫一は、愛に裏切られ、エリートの道を捨てた冷徹なる金の亡者。
貫一との生活よりも資産家の息子・富山との結婚を選んだ美也は、橋本治『黄金夜界』では、モデルの「MIA」となり、IT社長のもとに走る。
貫一は、ネットカフェ、老夫婦が営む町工場、居酒屋チェーンの仕事を転々としながら、ついには起業し「わらじメンチカツ」を出す飲食店のイケメン社長に。
美也に捨てられ、世間知らずだった男がいまや、SNSでの話題作りをしかけ、ふてぶてしく金を稼ぐ経営者に様変わりしていく姿は、紅葉が描かなかった貫一の苦しみを克明にあぶり出す。
そこへ富山との結婚生活に幻滅した美也が現れて……
内容説明
たった一日でホームレスに落ちた東大生。結婚に活路を求めた凡庸なモデル。愛に足を取られた金貸しの女。三つの欲望が闇に輝き絡み合い、舞踏会の幕が開く。橋本治、衝撃の遺作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
519
橋本さんの『金色夜叉』へのオマージュにして、ほぼ遺作。なんだかんだで(わたし的に)悪人が出てこないのがまず好ましい。橋本さんは年上の登場人物たちを借りて、現代の若輩者に対して人生訓を遺していかれた気がする。古希間近に書かれたのであろう、この作品の女性目線がリアルすぎる。一時はホームレスにまで落ちた元東大生の貫一の生き様が凄まじいのだが、あそこに至る経緯は彼の育った環境なのか、発達障害(あくまで私見)によるものか。最期にこの作品を遺してくれた著者に感謝。2021/06/29
starbro
203
橋本 治は、学生時代からずっと読み続けている作家でした。本書は、著者の遺作?でしょうか。著者版、平成の『金色夜叉』、著者ならではのエスプリも効いていて、遺作に相応しい秀作でした。改めて著者の冥福をお祈りいたします。 https://otekomachi.yomiuri.co.jp/enta/20180607-OKT8T86254/2019/07/29
yuyu
62
現代版「金色夜叉」。大体のあらすじは知っているが、読んだことはない。似ているのか否かはよくわからないが、現代版とはいえ、どこか古臭さを感じてしまう。昭和の香り?表紙がなかなか過激で職場などで読むにはちょっと…。2019/12/12
Makoto Yamamoto
48
久しぶりの橋本治。 ほぼ遺作となった「金色夜叉」を現代風にアレンジで著者の思いが伝わってくる「黄金夜界」。 主要登場人物のMIYAと貫一は貫一の両親が他界してから一緒に豪邸に住むようになる。 二人の不器用な生き方になるのも仕方ないか。。。と思いながら、最終章の黄金夜界が締め。 貫一の行動は今一つ理解できないが。。。2021/07/31
チャッピー
32
美也の主体性のなさにイライラさせられつつ先を知りたくて本が離せなかった。読み終わった時に心臓バクバクでした。2019/07/26
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- 和書
- 好きしかいらない!