中公叢書
古墳の被葬者を推理する

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  • サイズ B6判/ページ数 326p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120051470
  • NDC分類 210.32
  • Cコード C1021

出版社内容情報

長年にわたって日本考古学をリードしてきた著者による、古墳の被葬者をめぐる論考8篇を集成する。取り上げられる古墳は、箸墓古墳、誉田御廟山古墳、西殿塚古墳と西山塚古墳、五条野丸山古墳、植山古墳と山田高塚古墳、牽牛子塚古墳と岩屋山古墳ほか。

白石太一郎[シライシタイチロウ]
著・文・その他

内容説明

大王墓と有力豪族の族長墓はヤマト王権の構造と実態を解明する鍵を秘めている。そこに葬られたのは誰なのか?本書では箸墓古墳、誉田御廟山古墳、西殿塚古墳と西山塚古墳、五条野丸山古墳、植山古墳と山田高塚古墳、牽牛子塚古墳と岩屋山古墳を取り上げ、それらの造営年代に関する周到な考古学的検証を踏まえて、被葬者と造営過程を明らかにする。さらに物部氏、蘇我氏が営んだ族長墓の探求をとおして、最有力豪族の本拠地の変遷を考察する。古墳研究を牽引してきた著者による論考八篇を収録。

目次

第1章 箸墓古墳と大市墓
第2章 誉田御廟山古墳の被葬者をめぐって
第3章 西殿塚古墳と西山塚古墳
第4章 五条野丸山古墳の被葬者をめぐって
第5章 植山古墳と山田高塚古墳―二つの推古陵
第6章 牽牛子塚古墳と岩屋山古墳―考古学からみた斉明陵
第7章 古墳からみた物部氏
第8章 葛城周辺の古墳からみた蘇我氏の本拠地

著者等紹介

白石太一郎[シライシタイチロウ]
1938年、大阪市生まれ。同志社大学大学院博士課程単位取得退学。専攻は日本考古学。奈良県立橿原考古学研究所所員、国立歴史民俗博物館教授、奈良大学教授、大阪府立近つ飛鳥博物館館長等を歴任。国立歴史民俗博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

月をみるもの

11
意外なことに白石さんの本はこれが初めて。継体天皇妃の手白髪皇女の墓は西殿塚ではなく、そのすぐ近くにある西山塚であろうと推測している。継体は応神から五代目としてではなく、仁賢天皇の娘である手白香に入り婿することで正当な後継者になり、それを強調するために手白香はあえて大王ゆかりのヤマトに葬られた。一方、尾張の目子媛が産んだ、後継者二人(安閑/宣化)も、これまでの王朝との継続性を可視化するために、これまでの伝統によらず、妃(春日山田皇女/橘仲皇女、どちらも手白香の姉妹)とともに葬られた、、というのが白石さんの説2019/03/30

chang_ume

9
暦年代論を核としつつ、具体的人名を被葬者として検討しながら、墳丘・埋葬主体部・副葬品などの各編年観がクロスチェックされる。史料記載の多い飛鳥地域の終末期古墳に論考充実の傾向で、とりわけ著者専門の横穴式石室および横口式石槨の編年観に対して暦年代を須恵器編年(陶邑編年、飛鳥編年)から論証する「斉明陵」の章が読み応えあった。全体的に遺構・遺物の総体としての古墳編年に関する概論の側面もあり、一方で「欽明陵」のように文献と考古資料の齟齬を埋めきれない箇所もあって、被葬者論を通じた古墳研究の一側面を通覧できた。2022/07/16

ウォーカージョン

4
難しい。とにかく読み取るのが大変。そして、被葬者を推理するのもなかなか大変。推理から仮設、学説、定説になっていくには、まだまだ議論と史料が必要なんだろう。2018/12/25

3
古墳の被葬者を巡る考察をまとめた本。箸墓古墳は記紀等に伝わる倭迹迹日百襲姫の墓として宮内庁が管理しているが、著者は卑弥呼の墓だとする線で推理していく。最初期の大規模な前方後円墳は、考古学の年代同定や文献資料が邪馬台国の女王と伝える人物の墓の記述と一致するためだ。ここが考古学の難しい所で、推論に推論が重なっているため、論理が飛躍した見解とも受け取れる。しかし、被葬者を考える過程で古墳から当時の人間の生活状態や政治機能が浮かび上がってくるのは、考古学の面白さでもある。資料を読み合わせ、複合的な思考を持つ。2019/02/18

しゃるorまい

2
「ふーん、ほー、へー、なるほどなー」と半ば過ぎまで読んでいたのですが、後半で「〜だから〜であろう。なので〜であろう。さらに〜と言えるだろう」という感じの推論に推論を重ねる部分が出てきて、(大丈夫なん?)と思った途端に考古学のなんやらかんやらが一気に疑わしく思えてきてしまいました。例えば古墳の築造年代を推定するのに、出土土器の編年、石室の編年、石棺の編年、古墳の形態の編年、文献との比較が利用されているのですが、編年方法について統計的にどれくらい確からしいのか?、文献の確かさはどうか?、とか。信じていいの?2019/01/03

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