出版社内容情報
没後25年を過ぎてなお、読む人に新鮮な驚きと喜びをもたらす武田百合子の、作品集に収録されなかったエッセイを纏めた決定版。
内容説明
没後25年を前に明らかになる、たぐいまれなる文章家の全貌。かたちにならぬまま遺された100余りのエッセイを収める、待望の作品集。
目次
1(一九七七~一九七九(受賞の言葉―武田泰淳『目まいのする散歩』野間文芸賞受賞にあたって;武田泰淳『身心快楽』あとがき ほか)
一九八〇~一九八四(ばんめし;晩春のお寺 ほか)
一九八五~一九八九(動物園の午後;西京元旦 ほか)
一九九〇~一九九二(還暦旅行;名刀で切りとったような景色―吉行淳之介『街の底で』 ほか))
2(私の風土記;テレビ日記;映画館;思い出すこと―芹沢〓(けい)介先生「十三妹挿絵集」に寄せて ほか)
著者等紹介
武田百合子[タケダユリコ]
1925(大正14)年、神奈川県横浜市生まれ。旧制高女卒。50年、武田泰淳と結婚、夫の没後『富士日記』により、77年、田村俊子賞を受賞。竹内好と武田夫妻の三人での旅行記『犬が星見た―ロシア旅行』で79年、読売文学賞を受賞
武田花[タケダハナ]
1951(昭和26)年、東京生まれ。父は武田泰淳、母は武田百合子。写真家。90年、『眠そうな町』で、木村伊兵衛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
121
この作家の出版されているものは殆ど読んできました。「冨士日記」などなんど読んだことか。この本には今まで発表されてこなかったミニエッセイなどが収められています。時期がさまざまにわたっているので読んでいて百合子さんの全体像がわかるし、その人となりも表れているような気がします。2018/04/10
どんぐり
64
武田百合子全作品に未収載の100余りのエッセイ。富士北麓の山小屋での生活、書籍のあとがき、還暦旅行、「ある日。」で始まる日日雑記、テレビ日記や映画館の観客ウォッチと映画紹介など、バラエティに富んでいる。池袋文芸座「陽のあたらない名画祭」の紹介もあって、ずいぶんとなつかしい。『お湯』と題したなかに、こんな一文があった。「一日中、ほとんど家に籠って、本を読んだり、原稿用紙に向って咳払いなどしたりしていた夫が、寝ついたと思ったら半月余りで死んでしまったので、初七日、二七日、三七日と、そのことを順々に確かめてゆき2017/06/22
こばまり
58
少しでも長引かせたくてちびちびじれじれしていたが途中から一気呵成でもうだめだった。これからは好きな時に気の向いた頁を開いてそこから読むのだ。この本は宝物だ。2017/07/05
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
55
武田百合子さんの今までの著書に未収録だったエッセイを一冊にまとめた豪華本。表紙の百合の絵もキレイで眺めているだけでうっとりする。これを読んでしまったら、もう未読の百合子さんの作品は無いのだと思うと読んでしまうのがもったいなくて、なかなか読み始められず。読み始めてからも、もったいなさでゆっくり少しずつしか読めず。全編通じて、夫・泰淳氏の影が漂っている。亡くなった後も二人はずっと一緒だったのだ。2017/05/03
chanvesa
47
つまらなかったことに対しても、面白かったことと同じように、ていねいに理由を説明することの面白さ。そしてその裏付けとなるきらきらした感性。テレビ番組やポルノ映画に対しても、真剣なのかもしれない。忠臣蔵の畳屋さんが一杯出てくるところが好き(314頁)というのも面白い。350頁のワイドショー批判みたいなことも私も全くおんなじことを良く思う。何でひとつのニュースに何人もアナウンサーが出てくるのか、人が余っているんだろう。(妻に言うと、仕方ないでしょと怒られる。)2020/03/30