内容説明
その路地は秘密を抱いている。ここは、「この世」の境が溶け出す場所。お針子の齣江、“影”と話す少年、皮肉屋の老婆らが暮らす長屋。あやかしの鈴が響くとき、押し入れに芸者が現れ、天狗がお告げをもたらす。
著者等紹介
木内昇[キウチノボリ]
1967年東京生まれ。出版社勤務を経て、2004年に『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。11年『漂砂のうたう』で直木賞を、14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
286
時代は明治か。とある長屋を舞台に、そこに住まう市井の人々の生活を描く短編集。作品を通じて流れる儚さ、そして人を想う優しさ。何より木内昇さんの紡ぐたおやかで適度に抑えられた文章に、引き込まれる。いつしか、作品は過去と未来を漂い、ついには彼岸へも繋がる。四季の移ろいや、生業への思い、そして家族の優しさ。中学へ進学する子の学費を心配しつつも合格を祈る母。婿の家業への修練を心配しながらも見守る和菓子屋の旦那。そして徐々に明らかになる齣江とトメの過去。それぞれに訪れる転機。読了するのが勿体ないほど、魅力のある良作。2019/05/01
酔拳
212
静かで、儚くで、怪しいげな話。主人公の齣江、齣江の前の家に住んでいるトメさんが、儚くて、読んだ後、胸が締め付けられました。この世とあの世がつながっているとしたらと想像すると、怖いような、面白いような、複雑な心境になりました。2019/11/12
しんたろー
197
何となく読んでなかった有名作家シリーズ5:木内昇さん。まず、独特の世界観に戸惑った……明治後期か大正と思われるがハッキリした時代設定で詳細も判らない場所にある長屋周辺での話が、段々と心地好くなってくる。「人情小話を集めたものかな」と思っていると不思議な事柄が展開してゆく。そして切なくも暖かい愛に包まれた。途中で読むのを止めた人は勿体無いと思うほどのファンタジーに満足。美しい日本語にこだわり、簡潔な表現の中に想いを凝縮させた文章は読み手を選ぶ作風だと思うが、何とも言えない雰囲気が琴線に触れた。2016/12/31
KAZOO
187
この作者さんは昔1冊(浮世女房世話日記?)を読んでいたのですがそれっきりで、最近この作品の感想がよかったので読んでみました。明治時代のゆったりとした感じなどがよく描かれていると感じました。長屋の人情などの様子がよくわかります。宮部さんの作品からミステリー色を除いたり、藤沢周平さんにもう少し温かさを加えた気がしました。女性とは思っていませんでした。少し読んでみようという気がしました。2018/12/17
紫綺
173
過去、未来、そして今。混沌とした時空の中を、神や天狗が泳ぎ行く。夢か現か幻か、摩訶不思議な世界を堪能させてくれる。この世界観、好きだな。2016/06/04
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