内容説明
渡来系氏族がもたらしたユーラシア北方の英雄叙事詩を利用して、史書編纂者たちは新しい神格を創り上げた。比較神話学が解き明かすヒーロー誕生の謎。
目次
1 高天原を追われるまで(原スサノオ神話;アウトロー・スサノオ;農耕破壊;馬の皮を剥いで投げ込む;アマテラスとの呪術合戦)
2 出雲へ、そして根の国へ(落魄の神;ヤマタノオロチ退治;大呪術神;スサノオと朝鮮半島;古代人の宇宙観;冥界の王)
3 スサノオ神話を創った人々(スサノオ神話とユーラシア北方の英雄叙事詩;英雄叙事詩を列島にもたらした渡来人;押し付けられた仮面)
著者等紹介
山口博[ヤマグチヒロシ]
1932年、東京都に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。富山大学、新潟大学、聖徳大学教授、日本学研究センター(在北京)客員教授を歴任。富山大学、聖徳大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポリマー
3
138 2024/02/10
メーテル/草津仁秋斗
0
スサノオの破壊神としてのルーツを、大胆にも北方騎馬民族に求めた本。かなり無理があって、同意はちょっとできないこなあ。2015/12/26
星菫
0
説得力があった。スサノオ一柱についての考察で、ユーラシアとの関係とか、大和にとっての出雲の存在とか、いろんなものが見えてくるんですね。私もずっと「嵐神」という説を単純に信じていたので、この本は新鮮で楽しかった。2013/03/03
onepei
0
神話に実像も虚像もないわけだけど、有能なプロデューサーによってヒーローになったということか。2013/02/11
Ayako Moroi
0
出雲地方の素朴な農業神であったスサノオが、北方ユーラシア騎馬遊牧民の伝承の影響を受けて、記紀に描かれる乱暴な神として創られたと述べる。最後にその創作者は大和政権の中枢にいた秦氏ら渡来系の人々と推定されている。ヤマタノオロチと類似した多頭竜蛇退治伝説が多くみらられることから、この神話が北方由来のものだとする説は説得力があった。また、発掘調査の結果も記されているのが興味深い。研究書ではなく一般向けに書かれたものなので読みやすいが、その分、論証の説得力にやや欠けるところもある印象である。2023/11/01
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