内容説明
独ソ不可侵条約締結に始まる両国の暗闘…権力外交を続けながら、戦争準備を怠っていたスターリンとソ連の行動を追い、何が起き、何がなされなかったかを種々の資料から分析する。
目次
独ソ不可侵条約とソ連の参戦
対フィンランド戦争の結果
赤軍再建への険しい道のり
並立する諜報機関
対独関係悪化
混乱する戦略計画
錯綜するドイツ情報
ソ連の採るべき道は?
開戦直前の心理戦
開戦後のスターリン
総括
著者等紹介
守屋純[モリヤジュン]
1948年生まれ。早稲田大学卒。現在、名古屋市立大学非常勤講師。専攻、国際関係史・軍事史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Isamash
17
守屋純・名市大非常勤講師2012年発行著作。独ソ戦の前夜から開戦の局面を、主にソ連側から独側資料にもあたり丁寧に調べた労作。独軍ポーランド侵攻に乗じてのロシア軍によるポーランド東側編入及びフィンランド侵攻も詳しく記述されていた。スターリンは相手を過小評価しフィンランド全土を簡単に占領出来ると思っていたらしい。今のロシアにも通じる話し。多くの諜報情報と独軍の国境への集結事実がありながら、スターリンは独の戦線布告が信じられなかった。ヒトラーのソ連軍過小評価も興味深い。主に英国攻略への有効性から開戦したらしい。2022/05/07
にしの
5
ソ連崩壊を経て、アーカイブに秘匿されてきた文書が次々と公開された。2020年に話題となった新書『独ソ戦』のように、本著も新しい資料をもとにドイツ側視点を中心に記されてきた歴史からの脱却を図るものだ。独ソ不可侵条約から開戦に至るまでを、スターリンの政治感覚の分析を中心に物語のように事態が進み、バルバロッサ作戦で赤軍があれほどにまで大敗したのかが、自ずと明らかになってくる。スターリンがヒトラーに裏切られる未来を知っている読者からすれば、描かれる出来事は無能で滑稽に映るかもしれない。2021/01/05
yasu7777
2
★★★☆☆ 渋谷2927-2602021/07/06
こばりん2548
1
ドイツナチズムがいわゆるディミトロフテーゼでは説明しきれない、ヨーロッパの根源的エートスとしての人喰、人間の家畜化を内包していることが理解出来た。2012/10/26