内容説明
総力戦で重要なのは、軍備や戦術以上に経済だった。戦後日本へとつながる経済思想を準備したエコノミストたちの軌跡。
目次
序章 河上肇と第一次大戦
第1章 陸海軍と経済学者
第2章 経済新体制をめぐって
第3章 思想戦のなかの経済学
第4章 「近代経済学」の誕生
終章 高橋亀吉と第二次大戦
著者等紹介
牧野邦昭[マキノクニアキ]
1977年生まれ。東京大学経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。京都大学研究支援推進員を経て、摂南大学経済学部講師。専攻・近代日本経済思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
21
人道主義的マルクス主義者河上肇。ラスキンを人道主義の経済学の代表としてマルクスと並んでとりあげた(4頁)。奢侈廃止が河上の持論(9頁)。 山本勝市は河上の『貧乏物語』に感動して経済学へ(84頁~)。大熊信行の政治経済学―ラスキンと政治経済学(132頁~)。慶應通信の卒論で重要文献の一冊であったことを想起した。大熊の政治経済学は中山伊知郎や杉本栄一、蓑田胸喜に批判され、体系性・具体性に乏しいとも言われる(135頁)。勿論、完璧な理論はないとはいえ、現代社会にラスキン思想を活かす余地は残されていると思われる。2014/10/29
えちぜんや よーた
4
野口悠紀雄先生の「戦後日本経済史」「1940年体制 さらば戦時経済」と合わせて読むと、現代に生きる我々が経済オンチになりがちなのがよく分かる。中には経済学を飛び越えて「文化人類学か?」と思ってしまう論説もありました。経済学説史ってマイナーな分野ですが、たまには読んでみるのもいいと思います。2010/11/06
denken
1
経済学者の苦労が非常に伝わる。帝国の勝利のために何が出来るのか。この著者はこれからに期待できる。たとえ純粋経済学を目指しても政治からは逃れられない。2010/09/04
mokohei
0
戦前・戦中までの、マルクス主義を近代の産物とみる見方に私自身初めて触れた際にはかなりを違和感を持ったが、第四章でその疑問に答えてくれていた。2021/08/30