出版社内容情報
イギリスによる植民地支配の基本構造を作った東インド会社が、商社から政府に変貌してゆくダイナミズムと多面性を描き出す。
内容説明
躍進する21世紀インド経済の基盤をつくった統治機構。商社として発足し、植民地帝国の統治者へと変貌してゆく東インド会社の多面性とダイナミズムを描き出す。
目次
第1章 商社の時代
第2章 商社から領土の支配者へ
第3章 ベンガルの支配者から全インドの支配者へ
第4章 インド貿易の自由化
第5章 会社の軍隊
第6章 インドの高級官僚―ジェントルマンリー・ルーラー
第7章 三億人の支配者インド総督
著者等紹介
浜渦哲雄[ハマウズテツオ]
1940年、高知県生まれ。大阪外国語大学インド語科卒業後、日本経済新聞社、アジア経済研究所を経て、1993年より広島大学総合科学部にて教鞭をとる。1984~86年および1990~92年、ロンドン大学School of Oriental and African Studies客員研究員。2003~05年、JICA専門家としてラオス国立大学アカデミック・アドヴァイザー。現在、広島大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
6
商社として出発したのに、取引先に領土を獲得し政府になってしまい、最後は本国政府に吸収されてしまった変な組織。だけど、国際取引の法制度がないところで商売に携わるには、そりゃ軍隊だって警察だって戦争や外交の権利だって必要になる。政治と経済、国家と市場がきれいに別れているのは現実じゃなくて、われわれの頭のなかだけである。市場は自然に存在するんじゃなくて、国家が経済秩序を暴力をもって確立することをもって生れたものである。やっぱり国家の起源は暴力団であって、暴力団同士の抗争に勝ち残ったものが国家と呼ばれるんである。2018/09/09
うみ
3
イギリス東インド会社の組織について,だいぶスッキリした。国家とは別の統治期間ってのがやっぱりイメージしづらいんだよねぇ。別の人の別の本で「国民国家の形成が進むと東インド会社は軒並みつぶされる」という指摘はなるほどと思った。元祖グローバル企業だけども,もっか戦争請け負ってる民間会社がこんなふうになられたらたまったもんじゃないと思った。2014/05/17
シャーロック
3
英国の視点からイギリス東インド会社で描かれており、著書が言うように歴史的に重要な論点にも関わらず、日本語で読める書籍は少ないので良書だと思います。身分社会の英国から上昇するため、中産階級の国民が海を渡ってインドに赴く。インド総督列伝も大変興味深い。2014/02/17
Sosseki
2
会社が国を支配するというのが永年不思議だったが、読み終わってもやっぱりよく分からなかった。 貿易船や会社、居住地を武装することや、地元勢力と衝突して、戦争になることは分かる。 いろいろな経緯や変化があったとはいえ、会社のままで支配をつづけたことや、異なる民族・宗教とはいえ、外国の傭兵となってイギリスのインド支配に貢献したインド人についてはよく分からない。 2023/03/08
TALOS
2
世界史と縁遠かった自分にとって東インド会社は国策会社なのじゃないかと思っていました(日本で言うと満州鉄道のような)。しかし、実際は本国政府と利害で対立するシーンも有りながら、当時としては先進的な登用システムを有していたんだと感じました。2013/11/15