中公叢書
海軍の選択―再考 真珠湾への道

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120033049
  • NDC分類 397.21
  • Cコード C1021

内容説明

伝統的な「英米との協調論」から、対英米開戦に最後まで反対していたといわれる海軍。しかしながら、戦前の日本海軍は、戦間期に英米との協調を象徴していた海軍軍縮体制を最終的に拒絶し、また、日中戦争遂行の中で将来の対英米戦に向けた態勢作りに腐心していた組織であった。従来、こうした動きは一部強硬派の突出とされてきたが、本書ではあらためて、海軍全体を通した「英米との対峙論」から、その「真珠湾への道」を探る。

目次

第1章 「海軍休日」との決別
第2章 ドイツへの傾斜
第3章 蒋介石との対決
第4章 南進への布石
第5章 太平洋上の満洲事変
第6章 三国同盟の戦略
終章 対英米開戦への道

著者等紹介

相沢淳[アイザワキヨシ]
1959(昭和34)年宮城県生まれ。防衛大学校卒業。上智大学大学院博士課程修了。91年から防衛庁防衛研究所に勤務。95年から96年にかけて、ロンドン大学(LSE)客員研究員。現在、防衛研究所戦史部主任研究官
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感想・レビュー

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skunk_c

68
『山本五十六』の原点がありそうなので20年以上前に出された本書に手を伸ばす。著者の基本姿勢は「通説を疑い、矛盾を解明する」といった感じで、山本五十六、米内などが果たして「親英米派」だったのかというところに焦点を当てる。特に米内の盧溝橋時点での不拡大から上海事変で一転積極攻勢に出る理由を、蔣介石とは話ができると考えていたのが、中国の攻勢を受けて姿勢を改めたとする。笠原十九司の大山事件陰謀説より現実的か(これは証拠が挙がらない限り推論で考えるしかない)。総じてクリストファー・ソーンの著作に似た姿勢を感じた。2023/05/15

月をみるもの

18
親英とされる海軍だが、この時期じつはイギリスに対する強い反感が醸成されていたらしい。だったら真珠湾やらずにマレー・インドネシア侵攻だけやった場合、アメリカは参戦できたのだろうか。。2023/05/23

13
真珠湾前日までの海軍の選択についてを描いた本。ワシントン海軍軍縮条約を受けてからの補助艦への傾倒への流れが分かりやすかった。英米協調といわれる海軍だけど、そんなこともないし、しょせん陸軍と大差ないよという達観を感じる…。山本五十六が「勝算を得るのはただひとつ航空軍備の充実あるのみ」と開戦前の海軍首脳者会議で主張するつもりだったがしなかったとあって、…そうだね、思ってても言わなきゃ一緒なんだよな…。2017/08/14

バルジ

8
所謂「海軍善玉論」を徹底的に論駁する一冊。全章刺激的でかつ蒙が啓かれるが中でも第二章と第六章は「英米協調」の海軍という通俗的なイメージを徹底的に打破していく。第六章では一度は反対した日独伊三国同盟に何故海軍はGOサインを出したのか、海軍内における加藤友三郎・斎藤実など海軍主流を貫く北守南進論、対ソ協調論を軸として「北進」の三国同盟から「北守南進」の三国同盟へ質的転換を遂げた事で海軍に反対する理由が無くなった事が説かれる。 本書は対外進出政策における海軍の内在的論理を明らかにしている点で価値が高い。2019/12/28

フンフン

7
米内が海相だった時期に三国同盟に反対した海軍が及川が海相になったら賛成に転じたのは、陸軍や右翼の強硬姿勢と「バスに乗り遅れるな」の世論に譲歩したものとみられがちだが、実は海軍は元来北守南進論で一貫しており、第1次の三国同盟は北攻のための同盟だったから反対し、第2次ではソ連と結んで南進するための同盟だったから賛成したとするもの。なかなかの卓見である。2021/02/05

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