内容説明
広大な神殿に住み、神の声を聞く童女が、ひとりの少年に光の矢を向けられた時から、不思議な変化が起る…。寓話形式の中に、著者が描き続けてきた「個」へのあらたなイメージが表出する表題作など最新作八篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
せんちぇん
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増田さんの著書は「シングル(個という人間関係)」をテーマにした厭世的な作品が多いと思います。人付き合いが苦手な私との相性がよいのか、ずっとファンでした。この短編集は傾向が違って、寓話・童話の世界でした。どのお話も無国籍的なプロットにダーク・グレイの靄がかかっているかのような、褪せたような色彩。靄の向こうから、小声で語りかけられるのは、ストーリーなのに歌でもあります。子供になった気分で、それを聴きました。みんな好きなお話になりましたが、表題作と「夢虫」が好き。ほかにも読んでみたい。2012/11/01