内容説明
戦乱のベトナムで、日本人特派員と下宿の女主人がときめき育む大人の純愛物語。中央公論新人賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
11
「サイゴンから来た妻と娘」より以前、妻となる女性と戦時ベトナムで共に生きる中での出来事を描いた作品。戦乱を抜け目なく、かつ荒っぽく生き抜くことで、親戚から居候までをまとめた一族の家長となった女主人。そんな彼女が「仏陀を買う」となって初めて見せる、無垢ですきだらけの表情。さらに「戦争はいつ終わる?」と、誰にも答えられるはずのない問いは著者へ向かい、その問いに自分で「そう、終わらない。これからも、ずっと…」とつぶやくしかない彼女。そのあとで彼が戸惑いながらも下したひとつの決心に、この物語のテーマがありました。2013/02/16