出版社内容情報
日本にはなぜ優れた日記文学が多いのかを解明。キーン先生の著書の中でも最もよく売れた作品です。既刊よりルビや注を大幅増補。
なぜ日本でだけ、「日記」が「文学」となったのか。世界文学史上の大きな謎に迫る!日本人はなぜ「日記」を書くのがこんなにも好きなのか。そしてなぜ世界に類例なき優れた日記文学が次々と出現したのか。そういえば、面白い旅行記の多くも、日記の体裁をとっている――。平安時代から徳川時代に到る老若男女、有名・無名の人々の日記およそ80篇を読者とともに読みながら、キーン氏がその謎を解きほぐす。
内容説明
芭蕉による旅日記の最高傑作『おくのほそ道』を始め、紫式部、和泉式部ら宮廷の女性による優雅にして味わい深い日記、そして、時の権力者の姿や戦乱の実録、さらには僧侶や歌人・俳人がつづる漂泊の記…。この国で連綿とつづく日記文学の歴史を楽しみながらたどっていく。
目次
序 日本人の日記(文学的な位置;事実と嘘 ほか)
1 平安時代(入唐求法巡礼行記;土佐日記 ほか)
2 鎌倉時代(建礼門院右京大夫集;たまきはる ほか)
3 室町時代(失われた女性日記の伝統;大神宮参詣記 ほか)
4 徳川時代(回想録に近い作品の出現;戴恩記 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴロチビ
6
毬矢まりえさんの本から。難しそう!と敬遠していたが読んでみると面白い。が自分にはやはりレベル高かった。聞いたことも無い人の日記が続く中盤は少し飛ばした。平安から千年の時代を経て幕末まで来ると日記の書き手も現代人の感覚に近くなる。当たり前か。もっと知りたい!と思う面白そうな人もいた。井上通女、山崎北華。川路聖謨は渡辺京二氏も小説に書きたいと言ってたっけ。キーン氏の日本語凄い!と思ってたら金関寿夫訳とちゃんと書いてあった。にしても、どんな原文ならこんな風に訳せるのだろう!とゆかし。お二人とも凄い人なんだろな。2023/02/02
ふくとみん
2
一日に数編読むのが楽しみだった。色々なことを教えられた。死ぬまでに著作集を全て読み終えたい。2023/12/10
ブルーツ・リー
1
それでも読んでいるんじゃあ~!! ドナルドキーン先生の著作集2巻。 恐ろしい人ですよ。ドナルドキーン先生は。日本の古典文学、僕が題名すら知らない何とか日記について、日本語で本を書いてしまっております。。大碩学。 古典文、僕には全く理解できないのに、ドナルドキーン先生は、読解して、しっかり著書に仕上げ、しかもそれが、日本人の現代人に分かりやすいような文体で書くのですよ? 只者じゃないというか、化け物というか。。 すさまじい人です。 何とか日記、大学図書館にも無いようなものがいっぱい…wwすさまじい…ww2019/12/03
Hirokazu Ikuta
0
日本の日記文学を総説し、日本人の日記文学好きについて語る。しかし、最初の方で告白される、キーン氏の戦時中の軍隊での仕事が日本兵から入手した日記から日本軍の軍事機密を探り出すことだったというエピソードがあまりに印象的すぎて、他が霞んでしまった。どんな筆跡でもほぼ完全に解読できたそうです。2016/03/23
アンコ椿
0
たっぷり3週間をかけて読了。先の大戦で日本人兵士の手紙や日記の分析に携わった著者にとって、これが運命的なライフワークとなったようだ。日本に帰化されたキーン先生、ありがとう。2012/06/18