出版社内容情報
わかってくれる、誰か、がいる! 「脚注」で読む、新しい山本周五郎。長篇・中篇小説、27作品を網羅した全26巻、刊行開始。
わかってくれる、誰か、がいる! 「脚注」で読む、新しい山本周五郎。気高く、懸命に生きる人々の姿を描く山本周五郎の長篇・中篇小説27作品を網羅。全作品に物語をより深く味わうための画期的注釈を付す。巻末には、主要登場人物一覧や作品舞台の地図・系図、人気作家諸氏による特別エッセイ「山本周五郎と私」、さらに現代第一線の山本周五郎研究者による書下ろし作品論を収録。全26巻、ついに刊行開始!
内容説明
「本当の強さとは、何なのか…」空前の洞察力で、「伊達騒動」と人間原田甲斐を描ききる感動巨篇!脚注で読む、新しい山本周五郎。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュール
12
政争の中、自分を消して曖昧にしていく原田甲斐。下巻でこれがどう展開していくのか楽しみ。 それとは別に甲斐とまだ少女の宇乃が雪を被った樅ノ木を見ながら別れる場面は印象的。また、甲斐が雪の中、大鹿と対決する場面も素晴らしい。2023/10/19
だまし売りNo
8
本書を読むと仙台藩は有力家臣が各々領地を持っており、独立の気風が強い。仙台藩の藩祖の伊達政宗は戦国大名として領土を拡大しながら、新時代に適応できた人物である。しかし、政宗個人に適応力があった分、仙台藩の体制は中世的なままと感じた。他の藩が藩士をサラリーマン化して一円支配を進めたこととは異なる。伊達政宗は芯から戦国大名だったと感じた。 この家臣が独立領主になっている点は御家騒動が激化する要因と説明されがちであるが、それは結果論である。サラリーマン化して藩内の地位が全てになる方が権力闘争が激しくなる。2018/06/12
ohashi
5
原田甲斐。寅さんの叩き売りの口上にも「仁木弾正、お芝居の中での嫌われ役」ってある。その原田甲斐を別の面から描いた作品。人の上に立てる人物ってこんな感じかな。落ち着いている感じ。作り手の人間に対する深い洞察から構成された物語は読み手の視野を広げるだろう。 下巻が楽しみ。2013/11/08
暗頭明
5
大学に入学した年に2回、数年前に1回、今回で4度めの読了である。売りの脚注には感心しなかったが、時々史実と異なる描写があるとき、それも脚注として「つっこみ」を入れているところが何だが面白い。これだけ分量がある作品で繰り返し読んでいるのは『ねじまき鳥クロニクル』『カラマーゾフの兄弟』くらいか?実に重厚な作品で、今回改めて感心したのが、人物の書き分けがとてもよくできている点だ。江戸時代の階級、職分、所属する社会による違い、自分がどのようにそれを受け入れ、また対峙し変貌を遂げるのか、このあたり筆力に圧倒される。2013/07/12
yyrn
4
地元宮城の伊達藩が舞台の有名な時代小説で未読だったが、新版を図書館で見つけたので読んでみた。が、60年前の新聞連載小説のせいか、テンポが合わず。お家騒動の話なので、誰が味方で誰が敵か。相手はどんなワナをしかけてくるのか。裏をかくことができるか。読者もダマされるのか、といった辺りが読みどころだと思うが、その展開がまどろっこしい。が、それよりも主人公の伊達家重臣・原田甲斐が恰好よすぎるのが気になった。和せず同せず、冷静沈着で非情ながら少女から熟女まで全ての女性に慕われる。ここまでヒーローに仕立てていいの?2014/08/11