出版社内容情報
読める、わかる――21世紀の小林秀雄。
昭和17年40歳、初めて向きあう日本の古典美。「美しい『花』がある、『花』の美しさというようなものはない……」。「無常という事」「徒然草」「西行」「実朝」、他に哲学者三木清との対談「実験的精神」等28篇。
目次
昭和十六年(一九四一)(匹夫不可奪志;沼田多稼蔵「日露陸戦新史」;川端康成 ほか)
昭和十七年(一九四二)(三つの放送;戦争と平和;当麻 ほか)
昭和十八年(一九四三)(実朝;ゼークトの「一軍人の思想」について;文学者の提携について ほか)
昭和二十年(一九四五)(梅原龍三郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MatsumotoShuji
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031123
わいこ
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高校の授業で扱った
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再読。古典への回帰。それは、別に小林に限ったことではない。ただ、保田與重郎が歴史(=古典)に寄りかかりながら「雅な」虚構空間を作り出していたのに比べると、小林の場合は、「子供を亡くした母親」に寄り添うように、歴史(=言葉)のその手触りを味わおうとしている。恐らく、その手触りは、幾ら慰撫をくり返しても、決して到達しない絶対的な「他者」としてある。モンテーニュではなく、パスカルにその可能性を見出そうとしているのにも関連している。2023/08/18