出版社内容情報
読める、わかる――21世紀の小林秀雄。
昭和8年31歳、ドストエフスキーとの格闘が始まった。昭和9年2月「『罪と罰』についてⅠ」、同9月「『白痴』についてⅠ」……ついには昭和30年代まで、全身全霊を賭けて続けられた熟読の熱風。
目次
文学界の混乱
嘉村君のこと
アンドレ・ジイドのドストエフスキイ論
「罪と罰」について1
アランの事
新年号創作読後感
ジイド著・今日出海訳「イザベル」
文芸時評
夭折の意味
レオ・シェストフの「悲劇の哲学」〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブルーツ・リー
4
よ、読みましたよ、この体調でも、小林秀雄! 正直、元気な時でも難しいのが小林秀雄なので、どこまで読めているか、かなり心もとないですが、それでもゆっくり、無理やり読みました。 ドストエフスキーの研究者でもある小林秀雄ですが、ドストエフスキーが、深読みをすると、また難解であったりします。 ただ、「罪と罰」に関しては、大学の課題で読んだ事があるので、ある程度小林秀雄が言っている事(の一部)は理解できたかな、という感じです。 この本も、何度も繰り返して読んで、ようやく理解できる本だと思います。2019/12/18
2
再読。ドストエフスキーの『罪と罰』も『白痴』にしても、小林の批評は「読む」という経験そのものを意識化させるように書かれている。だから、初めから結論があり、それを収まりが良い帰納的/図式的に書いているのではなく、あっちこっちに話題はジグザグに脱線しながらも、その脱線が大きな円を描くようにある中心点を旋回する。この執拗な「読み」の過程で、今まさに作品を読みながら批評が書かれているという現場を、今まさにこの批評を「読んでいる」読者に追体験させる迫力はある。2023/08/11
MatsumotoShuji
0
030312