出版社内容情報
あいつぐ天変地異に無常を痛感した長明――原文で味わう古典の精髄。
一丈四方の庵に隠栖した鴨長明が世の無常を綴る『方丈記』。発心、遁世、往生の例を多数収集、自らの範とした仏教説話集『発心集』。
凡例
方丈記
発心集
解説 長明小伝
付録
長明年譜
校訂個所一覧
参考地図
内容説明
一丈四方の庵に隠栖した鴨長明が世の無常を綴る『方丈記』。発心、遁世、往生の様々な例を収集、自らの範とした仏教説話集『発心集』。不安な時代に生きた長明が晩年に至った境地。
目次
方丈記
発心集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
お茶
3
発心集のために読んだ。遁世・隠者とは、修行をしていることすら人に知られない、人目から逃れることを言うらしい。わざわざあえて破戒をなしているように見せた僧侶の話は象徴的。そのような遁世を理想とした鴨長明の宗教観が終始みられる。読むきっかけになった「ふだらく神」の話もおさめる。とりあえず説話の一冊読了したが、往生伝のおもむきも濃厚。2016/05/12
ターさん
2
『徒然草』を読んだ。その勢いで『方丈記』を読む。本書は『発心集』も載っているが、今回は『方丈記』のみである。それにしても、美文である。練りに練った文章である。というより、語るだけで文章になる才能があるのだろうか。その時代、大火、辻風、飢饉、大地震などの天災が起こる。長明は克明に記す。友人曰く「たぶん、自分の足で歩いて情報を集めたのではないか」と。ルポルタージュである。少々かたぐるしい人物を想像する。すでに長明の人生は「余算の山の端に近し」そんな中で、十歳の子童を「友として遊行する」さぞや楽しかっただろう。2022/12/29
じょうぶなことり
2
方丈記は最近別の本で読み返したばかりなので、今回は発心集のみ読了。抹香くさくて説教くさい話ばかりなのかなと思って手に取ったけど、もちろんそういう内容も含みつつも、いろいろなバリエーションの話があって飽きないし、登場人物たちがそれぞれ生き生きして個性豊かで人間的にも魅力ある人が多く出てくるしで期待より遥かに面白かった。作者の長明が理想とした生き方や人間像が、方丈記と併せて読むと具体的に浮かび上がってくる。2018/03/21