内容説明
八犬士が金碗氏を称する勅許を得るため、親兵衛一行は京へ向う。途中の三河国の苛子崎で海賊に襲われ、水夫らは毒を盛られて倒れる。霊玉の奇特で命拾いをした親兵衛は、一人で奮戦するが、首領に海に引き込まれ、危ういところを姥雪代四郎に救われる。使命を果した親兵衛は帰国を急ぐが、親兵衛の武勇と容貌を愛でる管領細河政元は、それを許さない。都では、掛軸から抜け出た虎が暴れまわり、人々を恐怖に陥れていた。万策尽きた管領は親兵衛に虎退治を頼み込む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
53
第132回-145回。当巻のハイライト、『無瞳子の虎』。諸悪を炙り出し、一掃した感。任和寺の「壁画の馬」の伝説が基、頭に浮かんだのが「目は心の鏡」。政元の”切り札”を出さざるを得ないことと、それを出すことで失うモノ、心の葛藤。その”半将軍”と呼ばれた政元の奢らない姿勢との対照性もミソ。次に、金碗を通して触れる家と名跡。馬琴自身の家督断絶と、息子が医師となり再興される馬琴の心底が頭によぎる。ここでも名刀(若鮎)と名馬(走帆)が登場。読後の相関関係作りの楽しみの1つとなる。2025/03/27
shunkichi
1
前半は海賊退治の話で、後半は京都での親兵衛の活躍の話。親兵衛、実は泳ぎが下手で、代四郎が大活躍である。京都へはいってからは、親兵衛は5人と対決したり、殿様にほれられてアプローチかけれらたり、虎が絵からでてきたり、虎が大暴れしたり、親兵衛に負けた4人が同士討ちしたりで、けっこう大変である。京都から帰られるのだろうか??虎の絵をかいた夫婦の話は、ちょっと説教臭いかな。2013/04/03
りょく
0
親兵衛in京都。虎退治のいい所で終わってしまった… 政元さん、人を見る目があるのやらないのやら。管領であれ、苛政を施す為政者にはそれなりのツケがまわってくるのが、八犬伝の痛快なところだと思う。因果応報、勧善懲悪が一貫して物語の軸として通っているところに、読んでいて好感が持てる。 解説は馬琴の語句・漢字の使用について。雅⇔俗が上手く取り入れられているんだなぁと思った。もっと視野を広く持って勉強する必要があると改めて感じた。2019/03/21